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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員
 第14話 再会
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うん? 弟?」
今、先輩はなんて……。

「そうだ。てか、やっぱり覚えてなかったか……まあ、仕方ないよな。お前はあの時、まだ3歳だったからな」
あの時って……? まさか……

「そ、そんなありえませんよ!? 一緒に暮らしていた子は僕より5歳くらい年上ですよ!? 先輩は3年、つまり17か18歳でしょう!?」
「確かにそうだが、俺は実際の年齢なんて知らねえよ」
え!? それじゃあ……


「そ、それじゃあ僕も実際の年齢は……」
「いや、お前の年齢は合ってるぞ。母親がお前を産んでそれから、親父と2人でお前を育てたんだからな」
母親が僕を産んで、僕を父親と2人で……?


「それじゃ……僕と先輩は……兄弟って事……ですか……?」
「その通り。それに赤の他人だったら面倒なんて見ねえよ」
「…………」


沈黙が続く……。


勇輝が口を開く。


「まあ、その、あれだ……でかくなったな、勇人」


「……兄……さん……」
目が熱くなってくる。


「本当に……生きていて……良かった……ごめんな、1人にしちまって……」



何かが、僕の頬を伝ってくる。




泣いたのは久しぶりだ……。



「落ち着いたか?」
「うん。まだ、少しだけ信じられないけどね」
「ま、そりゃそーだよな」
「ねえ、兄さん」
「ん? どうした弟よ」
「父さんと母さんの話を聞かせてくれない?」
「ああ、いいぞ」



「さて、どこから話そうかな……まあ、最初からでいいか」


「もともと親父と母さんは“裏”の出身じゃないんだ」
「え? そうなの?」
「親父は武偵で、母さんはどこかのお嬢様だったらしい」
「恋愛物でよくあるパターンだね」
「そうだな。親父はあるボディーガードの仕事を受けていて、その相手が母さんだった。最初の頃は互いに挨拶しかしない程度だったらしい。そして、色々あって2人はめでたく、思想相愛になった」
「完全にパターンじゃないか……」
「ああ、完全にパターンだな。しかし、そこら辺の武偵とお嬢様が付き合うなんて周りが許す筈もない。そして、2人が取った行動は……」
「あっ……」
もう分かった。このあと両親がどんな行動をとったのか。



「予想通り、駆け落ちだ。リアルにやるとか本当に若気の至りってのは恐ろしいよな」
「でも、なんで“裏”なんかに……」
「さあ? そこまでは俺も聞いていない。ちなみに俺は逃亡生活中に産まれたらしい。出産のとき、親父はめちゃくちゃ狼狽えていたってさ。想像して見ろ、いかにも厳格そうで仏頂面でマッチョの男が狼狽えている顔を」
「……………………ぷっ」

兄さんの言った通り想像してみると笑いそうになった。



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