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落ちこぼれの皮をかぶった諜報員
 第14話 再会
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どこ――!?」
男は突然、倒れ込んだ。


「そう焦らなくても、お前の目の前にいるぞ。ってもう聞こえてないか……」

先輩はいつの間にか男のすぐ傍にいた。先輩は拳を握っていたので大方、鳩尾にパンチでもしたのだろう。


本当に、彼は何者なんだ?



「いや〜楽しかったな。天原」
「そ、そうですね……アレ?」
「ん? どうした?」
「いや、最初に叩きのめしたはずの奴がいなくなっているんですよ……」


「このおおお!! 離せえええ!!!」 


「「!?」」


さっきの男が警備員と取っ組み合っている。どさくさに紛れて逃げようとしたところを警備員に見つかり拘束されそうになった様だ。

カチャ……
男が拳銃を構える。


「!? 早く離れろ!!」
勇人がいち早く警備員に離脱を促すが……。


ダンッ!!
銃口から放たれた銃弾は警備員の頭部に命中し、警備員は倒れた。


「…………」


「見たか!! ざまぁ見ろ!! どうせ死ぬんだったらほかの連中も巻き込んでやるよ!!」
男がそう言い、外へ走り出す。


ほかの連中……? 突然、雄一達の顔が浮かんできた。 



「そんな事、させるかよ……」
「天原?」


右手のナイフを走っていく男に目掛けて投げた。


ヒュン!


ザクッ!  


「ぐあああ!!」
ナイフがふくろはぎに突き刺さり、男は転ぶ。そして勇人は男に近づき……。


男の顔面に拳を叩きつけた。


「ガフッ!!」
男は再び気絶した。


しかし、勇人は気絶している男に何度も拳を叩き込む。


既に男は歯が折れ、顔は鼻血や歯肉から出血した血で赤くなっている。
それでも、勇人は男を殴りつける。


パシッ!


何者かが勇人の腕を掴んでいた。



「天原」
空山先輩が僕の腕を掴み少し悲しそうな目で見ていた。


「先輩……」
「もういいだろう、こいつはもう瀕死だ。あと、手を洗え」
先輩に言われ、自分の拳が真っ赤になっていたことに気づく。



「手を洗ったら、ちょいと付き合ってくれよ」
「しかし、こいつらを引き渡さないと……」
「大丈夫。すでに通報されていてすぐに警察が来るさ。それに、あまり目立ちたくはないだろう?」
「…………」

勇人は黙って勇輝についていくことにした。







2人は高所から寂れた街を見下ろしていた。


「先輩、どうして僕を助けてくれたのですか? 先輩は面倒なことは避けるタイプだと推測していたんですが……」
「まあ、確かに面倒事は嫌いだが……可愛い弟がピンチなら話は別さ」
「そうですか……。
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