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八百比丘尼
2部分:第二章
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った。そして確かに繊細な人物であった。
 だが。やはりここでも私は疑問に感じることがあった。
「あの」
「何でしょうか」
「どうしてそんなことを御存知なんですか?」
 私は尋ねた。
「昔の薩摩弁や太宰治のことを。それも直接見聞きされたような話し振りですが」
「実際に見聞きしましたので」
「えっ!?」
 私はそれを聞いて思わず顔を顰めさせた。
「今何と」
「実際に見聞きしましたと」
 彼女は答えた。
「まさか」
「いえ、本当です」
 彼女は穏やかな笑みを浮かべてこう言った。
「津島さんですね」
「はい」
 太宰治の本当の姓だ。太宰治というのはペンネームであり、本名は津島修治といった。
「本当にいい方でしたよ。明るくて」
「らしいですね」
 それは聞いたことがあった。自殺癖があり、薬に溺れていた時もあったが太宰は基本的に明るい人間だったらしい。躁鬱だったのだろうかとも思うのだが。


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