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剣の丘に花は咲く 
第十二章 妖精達の休日
プロローグ 混迷の食堂
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 一気に上から叩きつけられた。 
 喉を詰まらせたように息を飲む、そんな士郎の周りには、

「これ美味しいわよ。ほら、シロウあ〜んして」
「……あ〜ん」
「ちょっとキュルケっ! 何シロウの横に座ってるのよっ! て言うかタバサも何時の間にっ?! シロウの隣はわたしの席でしょっ! ほらっ、ちょ、もうっ! どきなさいってばっ!!」
「あらあら大変ね。あ、シロウさん。この後時間ありますか? 食後に丁度いいお茶が手に入ったんです。食事が終わったらわたしの部屋でどうです?」
「あら? カトレアがお昼を取るなら……そうね、わたしは夜をもらおうかしら? ねえシロウ。いいチーズと年代物のワインが入ったんだけど、どう? 今夜わたしの部屋で一杯やらない? ふふ……勿論メインディッシュもあるわよ。明日の朝までゆっくりねっとり味合わない?」
「ええっ! ちょ、ミス・ロングビルそれはずるくない? 一昨日もシロウを独り占めしてたでしょ。今日ぐらいあたしに譲ってよ」
「ああっ、何やってるのよジェシカっ!? 給仕をさぼってっ! っと、そうだ。ねぇ、シロウさん。マルトーさんが新しい料理を考えたから食べてみてくれないかって言ってたんですが、それで、あの、この後大丈夫ですか? その、実はわたしも一緒に試食してくれないかと頼まれていまして、で、あの、どうです?」
「ぶぅ、シエスタも人のこと言えないじゃない」

 七人の女性が士郎を取り囲み、奪い合うように身体をすり寄せ引っ張っていた。その中心にいる士郎はされるがまま、流されるままにしている。しかも、先程からキュルケやらルイズ等から服を引っ張られガクガクと身体が揺れているにもかかわらず、普通に食事を取ったり話をしていたのだ。その余りにも慣れた様子に、ギーシュたちはムカツクよりも先に呆れてしまっていたのだが、流石に色々と限界が突破してしまったのか、ドロドロとした嫉妬に燃える瞳を士郎に向けたのである。それはギーシュたちだけではなく、周囲にいる他の男子生徒たちも同じであった。ギリギリと歯を鳴らし、嫉妬の炎に身を焦がし士郎を睨みつけていた。
 士郎はそんな周りを見渡し―――。

「……なんでさ」

 力なく肩を落とした。



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