第十二章 妖精達の休日
プロローグ 混迷の食堂
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のであった。
とは言え、セイバーがこうまで女生徒に人気が出たのはそれ以外にも理由がある。セイバーが入学して三日。この短い間にセイバーはどこぞのギャルゲの主人公かと言いたいほど女生徒のトラブルに巻き込まれ、それを解決してきたのだ。ある時は階段から落ちてきた女生徒を抱きとめ、またある時は上級生の男子生徒から強引に誘われる女生徒を華麗に助け出しだし、またまたある時は木の上に登って降りれなくなった猫を救い出したりと……その度に無数のフラグを乱立してきたためである。
結果、入学して三日と言う僅かな期間でありながら、セイバーには親衛隊とも言うべき存在が出来ていたのであった。
……これもカリスマBランクの実力だと言えばいいのか。
騒ぎは時間が経つにつれ落ち着くどころかますます酷くなっていた。
しかし、取り囲む女生徒に全く動じず食事に専念するセイバーはともかくとして、目の色をピンクに染め上げた男子生徒に囲まれあわあわと慌て食事も満足にできないティファニアはそろそろ限界だろう。
士郎は泣きそうな顔で隣りに座るセイバーに助けを求めるティファニアの姿を見て内心で大きく溜め息を吐いた。
ティファニアに助けを求められているセイバーは薄情なことに食事に夢中で助けを求める視線に全くと言っていいほど気づいていいないようである。一見して優雅な食事に見えるが、その量を知れば見惚れた顔が引きつってしまう程だ。しかし、恋は盲目と言えばいいのか、セイバーを取り囲む少女たちは、あの小さな身体の一体何処に入るのかと真剣に研究してもたくなるほどの料理を胃の中に収めていく姿を見て顔を引きつらせるどころか頬を赤らめ陶然としていた。少女たちの隙間からかろうじて見える変わらぬスピードで料理に手を伸ばすセイバーの様子からして、まだ暫くは食事が終わらないだろうと予想くた士郎は、そろそろ助けに行こうかと足に力を込めるが、
「―――だけど隊長も大概だよね」
「―――は?」
セイバーたちから視線を外し、士郎に顔を向けたレイナールから発せられた呆れた声に出足を挫かれた。
戸惑った顔を前に向けると、レイナールだけではなくギーシュやマリコルヌ、ギムリも同じく士郎に顔を向けていた。士郎に向けられる顔はどれも死んだような暗い目をしている。異様な圧力を感じた士郎は、頬を引きつらせると、誤魔化すように笑みを浮かべた。しかし、その笑みは明らかに歪であった。
「一体何のことだ?」
「「「「はぁ? それ、本気で言ってる?」」」」
巻き舌で低く唸るような声を上げ、下から睨みつけてくる水精霊騎士隊の隊員の姿に、士郎はびくりと身体を震わせた。
「だ、だから何の―――」
士郎が戸惑い疑問の声を上げようとし、
「「「「このクソッタレハーレム野郎がッ!!?」」」」
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