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剣の丘に花は咲く 
第十二章 妖精達の休日
プロローグ 混迷の食堂
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にも結構男子生徒にもファンがいるようだし」
「まあ、その男のファンは女子が怖くて近づけないようだけど」
「って、言うかマリコルヌ。あの子に声かけたのか? 度胸があると言うか、無謀と言うか……色々な意味で漢だな」

 女生徒に囲まれるセイバーをチラチラと見る男子生徒の姿をチラリと見たギムリが肩を竦める。
 特に注視していなくとも、テーブルに座る男子の一部が、セイバーを取り巻く女子の壁の隙間から何とか見ようと先程から何度もチラチラと見ているのが分かった。
 男子生徒に崇拝のような目で見られるティファニア。
 女生徒に憧れの目で見られるセイバー。
 そんな二人がトリステイン魔法学院に入学したのは今から三日前のことである。
 アンリエッタの口利きにより、突如として一ヶ月遅れで一年生のクラスに編入したセイバーとティファニアの二人は、瞬く間に学院中の話題を攫った。二人同時に入学と言ったことではなく、二人のある種現実離れした美しさがその原因である。
 ティファニアはハーフエルフの証である長い耳を隠すため、耳を覆うほどの大きな帽子を被っており、授業中も食事中も外すことはなかったが、それが話題になることはすくなかった。何故ならば、二人が入学して直ぐにアンリエッタから事情を聞き、彼女たちの後見人となったオスマン氏により『肌が特別に弱く、窓から差す太陽光でも肌を痛めてしまう』との説明が全職員と生徒にしており、特例として屋内でも帽子の着用が認められていたからである。普通は誰も信じないような話ではあるが、ティファニアの雪のように白く透けるような肌を見れば、この子ならばありうると感じたため、疑惑の声が上がることは幸いにしてなかった。
 夜明けの朝霧のように儚い印象とは真逆の圧倒的と言うよりも破壊的な肢体を持ち、美の女神もかくやとばかりの美貌に加え、突如アルビオンから遅れての入学と言うワケあり感満載のミステリアスを持ったティファニアは、もはやチートと言うべき魅力を手に入れたため、学院中の男子生徒たちはこの三日ですっかりメロメロになってしまっていた。
 そしてそれはティファニアだけではない。
 同じく入学したセイバーもそうである。
 神の手を持つ職人が魂を込め銀細工で作り上げた特級品の人形のような近寄りがたい美貌。触れれば切れてしまいそうなほどの鋭さを感じる程の凛々しさ。涼しげな目元と凛と立つその姿は、女子生徒の服を身に纏っていながらも、まるで神に仕える聖なる騎士を幻視してしまうほどで。しかし、その姿は紛れもない少女。それも触れれば折れてしまいそうなほどの華奢な身体の少女である。
 そんな妖精のようでありながら聖騎士の如き趣が混ざり合ったため、明らかに美しく可憐な少女であるにも関わらず、中性的な雰囲気が香りたち、その芳香が学院中の女子生徒たちを引き寄せ魅了した
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