ぼっち卒業
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とアピールしてくるが、微笑ましいだけである。そんな白音を抱き上げて頭や背中を撫でてやる。黒歌の方は飛び退いてしまったがマントで確保済みだ。
「そうか、それはすまなかったな。オレはゼオン・ベル。ゼオンで構わん」
二匹を連れて台所にまで行き、白音をマントに預けてから昨日のスープの残りと魚肉団子を用意する。
「そう言えば聞き忘れていたのだが食べれない物や苦手な物はあるのか?」
「特には無いのにゃ。猫舌だけど熱い物が駄目って訳でもないし」
「ほう、そうなのか。ならスープは昨日の物より熱くするぞ。その方がまだ美味いからな」
「まだ?」
「未完成の試作品八号だからな。オレの中では7割位の出来だ。とても客には出せんよ。一晩寝かせた所為で雑味が増したな」
一号から順に改良していったのだがどうしても7割から先に進めない。これは根本的な所から作り直すか、一度ネタに走るべきだろうか。確か良い烏賊が大量にあったから烏賊だけを使った烏賊ラーメンでも作ってみるか?スープはイカスミと内臓で、麺は身をすり潰して整形し直して、具にはゲソを揚げた物でも使って。
「これはないな。ボツ」
「どうかしたのかにゃ?」
「気にするな。馬鹿な考えが浮かんだだけだ」
魚肉団子をスープに放り込んで軽く火を通してから掬い上げて別々の皿に盛って二匹の前に置いてやる。
「おかわりが欲しければ言え。食材は腐らない様に保存してあるが腐る程あるからな」
「「は〜い」」
「風呂も後で用意するから身体を綺麗にしておけよ。服に関しては適当に作っておいてやる。力のコントロールを覚えるには人の姿の方が楽だからな」
「気付いてたの?」
黒歌の問いに首を縦に振りながらマントを加工して子供サイズの浴衣を用意する。
「昨日、お前達が寝た後に専門家に連絡を取ったんだよ。そいつが言うには猫?らしいな。間違っていたとしても猫又の内のどれかだろう。なら、人型が基本のはずだろう」
「専門家?」
「飲んだくれの不良退魔師。腕は良いんだが性格がめちゃくちゃな奴でな、たまたまオレの屋台に来て知り合ったんだ。一度だけ居候している屋敷に招待されたんだが、まさかの妖怪屋敷でな。結構な数の妖怪以外にも人間とのハーフやクォーターが暮らしてたな」
本当に不思議な退魔師だ。オレが悪魔だという事にも気付いているくせに何も言わずに美味かったからまた来るわと言って帰っていったからな。しかも金が無い時は術を教えるからそれで勘弁してくれとまで言ってきた。まあ式髪とか結界とか便利な術だったから別に構わないんだがな。悪魔にそんな術を渡しても良かったのか疑問に思う。
「まあ暇な時に話してやるよ。それより、今は自分の身体を治す事に専念しろ」
黒歌の頭
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