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dark of exorcist 〜穢れた聖職者〜
第20話「パトリック・キリシマペア 慟哭」
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人影が見えた。
その人影は、少しずつだが確実にハリケーンの中を進んでいる。

「馬鹿な……」


ハリケーンをかき分け、フォカロルに近づいてくるのは………
右手に日本刀を持つ悪魔狩り。

その人影は凄まじい速度で、ハリケーン内部の瓦礫を風ごと斬り裂く。
しかし、全ての瓦礫を斬り裂けるわけではない。
キリシマは身体中のあちこちを瓦礫に傷つけられながらも、一歩ずつフォカロルに近づいている。

ぶつかってくる瓦礫や、それによって傷つけられた自身の身体に一切の興味を示さない。
キリシマが睨むのはただ一点。

風の悪魔。



フォカロルの目の前に突然、日本刀の切っ先が向けられた。
その切っ先は、ハリケーンを突き破って真っ直ぐフォカロルの顔に向けられている。
次の瞬間、切っ先が横一文字に素早く動いた。

ゴウッという音を立てて、ハリケーンが崩れた。
澄んだ視界の前に立っていたのは、居合の構えでフォカロルを睨むキリシマ。

「(チッ……間に合うか分からんが………!)」

フォカロルは咄嗟に風を操作する。
突風を地面に当て、小石を巻き上げる。

「…………………ッ」

細かい小石や砂利がキリシマの視界を邪魔する。


「残念だったな」

キリシマが再びフォカロルを見た時………
フォカロルの右手には、風の槍が形成されていた。


ドスッ




フォカロルの風の槍は、悪魔狩りの腹を刺し貫いた。

「…………ごぁッ……貴様……ッ!!」

同時に、フォカロルの腹にも武器が突き刺さる。


長槍が。


「ゴフッ……ったく、目潰しなんて、セコい手にかかりやがって………」

キリシマに風の槍が突き刺さる直前に、パトリックはキリシマを払い除けた。
そして払い除けた瞬間、長槍をフォカロルに突き刺した。

しかし、フォカロルの風の槍は消滅せず、そのままパトリックの腹に深く突き刺さる。

「屑が……クソッ……離せ!!」

フォカロルが右手に力を込めると、風の槍が爆散した。

「ッあ!?」

パトリックの傷口は無理矢理広げられ、強風で大量の血とともに吹き飛ばされた。



「……クソッ………他の奴らに“人間に刺された”と知られたら、とんだ笑い者だ……」

フォカロルは腹に深く突き刺さった長槍を引き抜き、キリシマの足元に投げて寄越した。
腹を押さえながら、片手で風を操作し、周囲の土を巻き上げる。

土煙が晴れた時、そこにフォカロルの姿はなかった。

また逃げられた。
しかし、今のキリシマに逃げた上位悪魔などどうでもいい。

「………パトリック、しっかりしろ」

キリシマは急いでパトリックに駆け寄り、傷口を押さえる。


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