#6『ファーストリべリオン』:4
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ローイクワット…目の前の青年だろう…の、彼らを率いる《七星司祭》第六席、コーリング・ジェジルに対する狂信ぶりはそこそこ有名だ。どうやらここは、コーリングに支配権のある《箱舟》だったらしい。《魔王》のレギオンは、意図せずして地雷を踏んでしまった、という事なのだろう。
そして第九師団の面々は、シュートやククリと戦闘面での相性が悪い。《刻印》の効果によって死ぬことはほぼないとは言っても、シュートもククリも、武器はダガーナイフなどの刀剣武器だ。鍛え上げられた鋼の肉体をもつ彼らには、刀剣で傷をつけることは難しいだろう。
ここは素直に退散すべきだろうか。いや――――望めなさそうだ。
いつの間にか、シュートとククリを、第九師団の面々が取り囲んでいる。
「賊といえども、これだけの被害を引き起こしたのだ。相当の手練れと見受ける。故に――――悪いが、我ら全員で相手をさせてもらおう!」
瞬間、第九師団が距離を詰める。豪風の様な、凄まじいスピードだ。雑兵たちとは比べ物にならない。
「ククリッ!!」
「分かってる!」
彼らを十分にひきつれて―――――跳躍。半ば化外と化しているシュートとククリは、人体を明らかに凌駕した身体能力を保持していた。だが、第九師団も一般人ではない。彼らもまた、鍛え抜かれた精鋭たちだ。特に、その団長であるチャイネイの戦闘能力は『異常』の域へと踏み込んでいた。
「覇ッ!!」
飛び上がったシュートとククリよりもさらに上空に跳躍力だけで瞬時に出現するチャイネイ。その足が空中で高々と上げられ――――凄まじい速度で振り下ろされる。その型、断頭台のごとし。
豪速の踵落しを、シュートとククリはお互いの足の裏を足場にして、横に飛ぶことで回避した。ズン、という激しいインパクト。チャイネイの踵落しが《着弾》した地面が、大きくえぐれていた。
――――凄まじい威力だ。
本来ならば、刀剣術も含むありとあらゆる格闘術は、足場がなければ真価を発揮しえない。踏込が甘いと、攻撃を行う部分に力がうまく入らないからだ。回避でも同様。空中での姿勢制御が困難とされるのはそれがゆえんだ。空中で素早く攻撃を回避するには、先ほどのシュートとククリが行ったように、別の何かを足場にして跳躍するなどの方法が必要である。
だが、チャイネイの踵落しは、それを全く行わずに放たれたにもかかわらず、とても人間業とは思えない凄まじい威力をたたき出した。一体彼の身体はどうなっているのだろうか。
ふとそこで、シュートはチャイネイの体を、淡い黄金色のオーラが蓋っていることに気づく。その気は彼の体の内側からあふれ出ているようだった。
そう言えば、と、ふと思い出す。旧世界の東方に、《チャクラ》と呼ばれる秘術の使
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