入学してもぼっち
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「兄ちゃん、また来たで。今日は連れも居るさかい」
「いつもありがとうございます。どうぞ」
長野の山奥に住んでいるのに態々週3位で通ってくれる常連の銀細工師のお客さんとそのお連れにお手拭きとお冷やを人数分お出しして麺をゆで始める。
「並、大盛り、特盛り、小盛り、どれにされます?」
「大盛り2つに小盛り1つ。あっ、大盛りの片方はトッピングスペシャルな」
「まいど」
どんぶりにスープを満たし、茹であがった麺を入れてトッピングとして自家製のメンマとチャーシュー、産地で購入して時間が流れていない収納の魔法陣の中から出した海苔、スペシャルには味付け卵と先程のチャーシューとは別の種類のチャーシューを乗せてお客の前に出す。
「お待ちどうさまです」
「おおっ、今日も美味そうやな。ほな、いただくで」
「「いただきます」」
旅を始めて早6年、旅を続けながら順調にラーメンの改良を行い、オレは大阪にまでやってきている。さすが関西圏での食の流通を司る街なだけあり、色々な食材を確保する事が出来た。手持ちの資金もそこそこ増えてきている。このまま人間界で暮らしていこうかな。その方がお互い気楽に生きられそうだから。
「そうや、兄ちゃん。兄ちゃんはあの噂知っとるか?」
「噂ですか?何分この商売をやってると色々と話が集りますから、どの噂ですか?」
「又聞きやから実際に見てはないんやけどな、なんやえろうべっぴんさんが燕尾服着て子供を捜しとるらしいねん」
「燕尾服を着ている美人?それって髪が赤で三つ編みにしている?」
「なんや知っとるんかい。そうや、そのべっぴんさんやけどめちゃくちゃ強くてな、手えだした酔っぱらいとかナンパした男が再起不能にされとるらしいねん。兄ちゃんも気いつけてや。兄ちゃんのラーメンが日々の楽しみやさかい」
「そう言って貰えると嬉しいですよ。ですが、今日でこの屋台も店じまいなんです」
「なんやて!?なんでやねん」
驚いている常連のお客の後ろから噂の燕尾服を着た美人が現れる。
「ゼオン様ですね」
「ロンか。父上が呼んでいるのだな」
その正体は父上の騎士の一人であるロンだ。オレへの連絡係であったはずだ。
「はい。急ぎお戻りください」
「分かった。明日の朝一番に書斎に顔を出すとだけ伝えておいてくれ」
「お早いお戻りを」
それだけを言い残してロンは冥界へと戻っていく。
「という訳ですよ」
「なんや兄ちゃん、ええ所の坊ちゃんやったんかい」
「そんなに仲が良い訳じゃないんですけどね。だけど、兄弟もいないからオレが家を継がないといけないんですよ」
「面倒なんやな」
「ええ、面倒ですけど家を絶やすわけにはいかないん
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