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久遠の神話
第百四話 最後の戦いの前にその十四

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「一応な」
「そうなんだね、だからか」
「朝はな」
 その時はというのだ。
「それを食っている」
「野菜だね」
「それと豆乳だ」
「やっぱりバランスよく食わないとね」
「しかも多くな」
「いいねえ、あんたわかってるね」
「トレーニングもしている」
 表の仕事、そして戦いの合間にだ。
「それもな」
「まるでスポーツ選手だね」
「そうかもな、少なくともぜい肉を身体につける趣味はない」
「そう言うんだね」
「そうした考えだ」 
 こう親父に話した。
「俺はな」
「そういえばあんた凄いスタイルだね」
 実際にぜい肉は欠片もない、鞭の様な身体だ。引き締まっているが無駄な筋肉はない。そうした身体である。
「よく格闘家とか言って変な筋肉つけるのいるけれどね」
「清原か」
「そうそう、あいつね」
 有名な元プロ野球選手だ。この男はというと。
「野球選手だったのにね」
「格闘家の筋肉をつけているな」
「今もね、あれはね」
「駄目だな」
「そうだよ、駄目に決まってるんだよ」
 親父は焼き鳥を焼きながら加藤のその言葉に答えた。
「あれはね」
「野球選手だからな」
「野球選手には野球選手の筋肉があるんだよ」
「トレーニングの仕方もな」
「食事もね」
 そのスポーツに合ったものがあるのだ、全て。
「野球選手のものがあるんだよ」
「しかしあいつはな」
「変に格闘家の筋肉をつけてね」
「無駄な力をつけてな」
「おかしくなったね」
「愚かなことだ」
 加藤は一言で言い捨てた。
「そんなことをしても何にもならない」
「全くだよ」
「そもそもスイングもな」
 バッターのそれもだ。
「力でやるものではない」
「腰の振りだよ」
「そんなことは既にわかっている」
 ベーブ=ルースの頃からだ。ルースの当時、今から見ても驚異的なホームラン数の原因は何処にあるのかと研究された結果腰のスイングにあることがわかったのだ。この時から長打には腰の振りだということがはっきりしている。
 しかしだ、清原はだったのだ。
「力に走った」
「そこがそもそもおかしいんだよ」
「しかも格闘家だとか言ってな」
「かえって怪我も多くなってね」
「守れなく走れなくなった」
「打つだけっていうかね」
 その打つこともだ。
「遅いストレートしか打てない、おかしな奴になったよ」
「怪我だけが多い、な」
「格闘選手は野球はしないんだよ」
 本来は、だ。
「その為の筋肉でもないし」
「それではだ」
「ああ、怪我をするのも道理だよ」
「あいつは反面教師だ」
 加藤はj表情は変えていないがきっぱりと言い切った。
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