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Eve
第一部
第一章
虚実から現実へ
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準備するからな。」
小さな少女……ミレアという子だが、俺のことを見るなりお怒りのご様子。遅刻だ遅刻だと俺のことをポカポカ叩いてはご立腹だ。周りの老若男女もその様子を見て始終笑みを浮かべている。
……遅刻はしていないはずなんだけど。
俺はミレアの頭を軽く撫でてその場に留めつつ、列の先頭へと向かう、のだが……。
「恭夜くん遅いよ!」
どこからともなく聞こえてくる声。さっきから頭のなかで渦巻いている『遅刻はしていないぞ!』という俺の思いは、その一言のもとに打ち消される。
俺は小さくため息を吐き、苦笑いを浮かべるみんなに苦笑いを返しつつ、列を辿っていく。列の前の方から聞こえた、聞き慣れた声の主がいるであろう列の先頭を目指して歩みを進めていくと、いかにも憤怒なうですよという立ち振舞の少女が一人、やはり列の先頭にいて……。
「美羽……早いんだな。」
「恭夜くんが遅すぎるだけだよ!」
そういうなり頬を膨らませ怒りを露わにする、ミレアよりもご立腹なご様子の少女、美羽。プラチナブロンドのミディアムヘアーで、とことん幼い顔立ちが印象的で、あまりに幼すぎてお前は本当に俺と同い年なのかと小一時間ほど問い詰めたくなるほどには幼い。肌は白く、少し薄汚れてはいるが純白のワンピースがその肌に映える。
そうだな。夢の世界で俺が心を寄せる人がイブならば、この世界での俺の良心……と言えるのかは果たして微妙なところだが、少なくともこの世界の誰よりも俺が信頼している人ってんのが美羽だ。
俺はぼちぼちと、列の先頭で一人で黙々と作業をしていたであろう美羽の側に移動する。
「だからー……俺は遅刻していないって何度m」
「ボクが先に来た時点で、恭夜くんは遅刻なの!」
「」
「こんなにみんなを待たせちゃったのも、恭夜くんが遅いから……」
列に並ぶみんなの方をちらっと見る美羽。俺もつられてそちらを向けば、困り顔のみんなの数だけの視線が俺の心を亜高速で貫いていく。
おい待てや、そんなバカな話があるもんかい。どう考えても理不尽だ。
冗談だとはわかっていても、みながみな困り顔をしていては俺のアウェー感は高まるばかりで、俺としては自分の無実を証明したいわけなのだが。
「……理不じn」
「早く準備するよ!これ以上待たせられないもん。」
「」
完全にアウェーだった。これ以上ないほどに。
そう。アウェーなのだけれども、確かにみんなをこれ以上待たせるわけにもいかないのも事実で……きっとみんな腹を空かせていることだろう。
「……」
……まぁ、いいか。
俺は心の片隅で蟠り燻っている、どことなく釈然としない気持ちをどうにか押し込め、俺は俺の横に積み重なる所々に穴が空き、ささくれが目立つ木箱へと手をかけた。二段重ねのボロ木箱が3セット置かれていて、そのうちの右端の上段の箱を持ち上げ、
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