それが君の”しあわせ”?
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が残るから嫌いだった。そも、もとよりあまりネギを食さない性質でもあるので拘ったことは殆ど無い。むしろ癖のない乾いたネギの方が好みなくらいだ。
悟子は言われるまでさほど肉とネギの事を気にしてはいなかった。「言われてみれば確かに」程度の意識しか持たず、何の疑問も持たず一杯700円のうどんを平らげていた。間宵にとっては不満点だらけのうどんでも、彼女には普通のうどんに思えたのだ。
そこまで煩く言わなくてもとは思うが、同時に悟子はたまに味に敏感な間宵に感心するときがある。彼女は自分がその食べ物に関して言い知れない不満がある時に、その不満が何なのかをピタリと言い当てて見せる。またイメージ力も強いのか彼女が「これは美味しくなさそう」と言った料理、飲み物、お菓子類は9割9分が本当に美味しくない。美味しくないものに敏感な彼女だが、美味しいものにも敏感で、牛丼屋の味噌汁の味噌の良し悪しまで判別できる彼女の味覚は間違いなくグルメだと思う。
「よくそれだけうどんに語れるよね。私なんか言われても違いが分かんない所があるよ」
「ふん、アンタあんまりおいしいうどん屋に行ったことないんじゃないの?チェーン店のうどんは大抵そこそこの味を越えないし、場所によってはゴム噛んでるみたいな酷い麺もあるし。個人営業で美味しい店となると探すのがちょっと手間だもん」
「そういう所も真似できないよ。私そもそもそこまでうどん屋に行かないから・・・食べ比べすれば少しは違いが分かるかもしれないけど、次に店に行く頃には前の店の味なんて覚えてられないよ」
むしろどうしてそこまで覚えていられるのかが悟子には不思議だったが、それを言うと間宵は突如肩を落として箸をうどんの器の端にそっと置いた。続いて少しばかり羨ましそうな目線で残りのうどんを啜る私を見つめる。
「ねえ、この場合さ・・・私とアンタはどっちが幸せなのかな?」
「・・・・・・?」
= = =
もう夕方も過ぎ、人の少なくなってきたスーパー内部。魚、肉、野菜の基本食材を初めとする様々な商品が陳列され、日本の様々な場所から安く仕入れられるその様は現代人にとって心強い。地元で仕入れた鮮度の高い野菜たちが段ボール内部から顔を覗かせるが、あれも明日には売れ残りという事でスーパー内で販売する特売弁当のおかずに持って行かれるのだろうとバイトの女性は取り留めもなく考える。
どうして私は四六時中とは言わずともずっとレジの中に突っ立って客を処理していかねばならないんだろうか。その答えはたった一つ。就活に失敗した末に結婚し、主たる収入を夫に頼らなければいけなくなったからである。夫は普通の会社努めなので収入は安定しているが、子供を産んで育てるにはまだまだ貯蓄が不十分だ。だからそれを少しでも早く溜めたいがためにこうしてパート
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