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SAO編−白百合の刃−
SAO17-白の死神
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の一言を私は見透かされた相手に求めた。だってそれは、私が相手に一番求めていた言葉をようやく口にすることができたのだから。

「…………私は単に貴女の行動がムカつくから、突きつけただけよ」

 その言葉とは裏腹に、彼女はこちらへ寄って来て、溢れでる涙を拭ってくれた。
 光が閉ざされた暗くて冷たい海は怖くても、慣れるしかないと思った。浮き上がることを諦めるしかなかった。そこに、冷たいけど暖かい陽光が差し込んで来た彼女は、私に語りかけて来た。

「生きることが苦しいからって、逃げないで。貴女が苦しいまま終わってしまって、冷たい闇から永久に上がれなくてもいいの? ずっと後悔の念に囚われたまま終わってもいいの? 全てを手放しても苦しいことから逃れて、なにもかも終わっていいの?」

 よくない。そんなことはわかっているつもりだ。
 でも、わかっているつもりでいるから、どうして受け入れ難く否定してしまう。

「でも、私…………いけない存在だから、私なんかいないほうが……」
「それでいいのよ」
「えっ……?」
「それでいい。悩んだり苦しんだり悲しくなってもいい。時は(うつ)になっても、迷惑かけてもいい、自分の存在が嫌いになってもいい」

 彼女の声音は冷たく暖かい、氷の精霊に励まされているように感じた。

「でも、それから楽になろうとして、逃げるのだけは駄目。全部なかったことにすれば、貴女の中で生きている記憶も殺すことになるのよ」
「このまま、苦しみを抱えながら生き続けろって言いたいの?」

 そんなの、堪えられないよ……。今でも十分死にたい程苦しいのに、堪えきれるわけがない。でも、死ぬのは駄目だとか、生き地獄をしろって言いたいの?

「その通りよ」
「私、はっ……」
「だからって、笑うことは駄目だとか、楽しいこと嬉しいことも駄目とかはいわないわ。明るく振る舞ったり、自分勝手に優先して、楽しんだり笑ったりしていいのよ」
「そ、そんなの、無理だよ! だって、だって私は……!」

 サチや皆を見捨てて殺した。それなのに私なんか笑う資格なんてない。
 言い切る前に、視界が急に閉ざされた。でも、暖かくて優しくて、二度と照らされることもない光に包まれるようだった。
 そうか……。見知らぬ、血聖騎士団のクールな女性プレイヤーが抱きしめているんだ。
 味わうこともなかった、人の温もりに助けられている。
 彼女が続けて言葉を口にしようとした時、聞きなれないアラーム音が響き渡った。
 今は彼女から出る言葉に優先すべきだと考えていた。でも、自然な流れで音が鳴った原因を探すと、その正体はアイテムウィンドウの中のサチの名前が記されたタブのクリスタルだった。
 これはあの日の出来事、迷宮区に行く途中にサチが渡されたものだった
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