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SAO編−白百合の刃−
SAO16-約束の代償
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 どうして、どうして、そんなこと私に言おうとするの!?

 怒ってよ!

 憎んでよ!

 恨めよ!

 殺してよ!

「俺を殺してくれ。憎いんだろ? 怒っているんだろ? 恨んでいるだろ? 殺したいだろ? だから…………好きにしていいよ」

 どうして、私に望まない言葉を告げるのよ!

「キリカ、こんな兄で……ごめんな」

 兄の言葉は、私に苛立ちを覚えてしまった。望まない兄の発言にして、憎く怒りが込み上げてしまった。

「なんだよ…………なんだよ、それはよ、ふざけるなよ!!」

 力強く右手の拳で地面に叩きつけるように殴りかかった。
 一度、苛立ちを覚えてしまった私に冷静になることは無理に等しい。私は感情をむき出しに殴り続けた。

「なんで、なんでそんな言葉が出てくるんだよ!」

 攻撃しているのは私なのに、体が痛くて……心が痛くて……苦しかった。
 それもそのはずだった。兄がこんなことを言いだすのは、元々私が原因なんだから。
 私のせいで、兄は言わなくていいことを言ってしまう原因に繋がってしまったんだ。

「恨めよ!」

 一発。

「怒れよ!」

 一発。

「憎めよ!」

 一発。

「殺せよ!」

 イッパツ。

「サチ達を殺したのはキリカだって!」

 いっぱつ。

「全ての元凶はキリカだって!」

 いっ……ぱつ……っ。

「キリカが逃げたせいでサチ達は死んだって、言えよ! 言ってよ!」

 一発、
 一発、
 一発。
 殴る度に視界がボヤけて、兄の顔が見られなくなっていても涙混じりの叫び声と共に、殴り続けることを止めなかった。止めようとも考えなかった。何も考えられなかった。

「兄が謝るなよ! なんで謝るの!? 謝る必要も殺して欲しい理由もないでしょ! 訂正しなさいよ! 俺はお前が憎いから殺すって! 俺は……っ、お前を許せない、ってさぁ…………言ってよぉ、ねぇ……なんでぇ……」




「なんで兄が私の罪を背負うんだよ!!」




 兄は何も言わなかった。何も反論せず、ただ理不尽な怒りを受けていた。
 こんなことをしたところで、何もかもが戻ってくるわけじゃないんだと冷静になった自分が憎いと思った。自分を殺したところで、兄が死んだところで、サチ達が戻ってこない。
 どちらが自分の罪を背負ったまま死んでも、何も意味はない。変に冷静になった私は『降参』と発生してデュエルは終了させた。
 止まらない涙を拭いた。でも、涙は止まらない。悲しくて、殴る手は止まっても涙は流れ続ける。
 私は立ち上がり、気力も覇気もない、倒れている兄……キリトに別れの言葉を告げた。

「さよなら…………“キリト”」
「……
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