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SAO編−白百合の刃−
SAO16-約束の代償
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うって言ったから。

 …………私が宝箱を見つけてしまったから。

 …………私が兄を信じないから。

 …………私が逃げてしまったから。

 …………私が約束を破ったから。

 死んだ。

 みんな死んでしまった。

 全部、全部私のせいだ。

 私のせいで、ケイタを、テツオを、ササマルを、ダッカーを、サチを……。

 殺した。

 殺したのは紛れもなく、

 私だ。

 兄は……怒っているよね。当然、よね。私が皆を殺したんだから、私の行動が元凶なんだ。殺したいほど憎んで怒っているに違いない。
 誰よりも生を求めたサチが死んで、ただ逃げて生き残る私が生きていいわけない。
 だから……私を殺していいから、思う存分、私を斬り殺していいよ。
 メニューウインドウを操作し、兄にデュエルメッセージを送った。兄が私を殺すには『全損決着モード』これはお互いのHPバーを0にすることが出来る。つまりHPバーが無くなれば、この世から消える。
 今の状況にピッタリなデュエルだ。
 兄は顔を見せずにデュエルは受諾する。オプションは『全損決着モード』
 そう、兄は私を憎く怒り殺したいに決まっている。私のせいで全てを失った。
 それなのに私が生きているのはおかしいんだ。
 私はここにいちゃいけない存在。全てを壊した私が生きたところで何も意味は見出せない。
 カウントダウンが迫り、兄妹の間の空間に『DUEL』の文字が弾いた。
 私は武器を構える必要がない。ここで兄に殺されて死ぬんだから。私はここにいていいわけないから、武器を持って、死を拒否することは許されない。

 それなのに…………なんで。なんで、兄も……私と同じように武器を構えないの? どうして、私を殺そうとしないの?
 なんで?
 
 なんで!?

 私は兄のことが理解出来なかった。
 殺したいほど憎んでいるんじゃないのかと思っていたから、兄が何もしないことに意味がわからなかった。
 思っていたことが描けず、苛立ちを覚え始めた時、兄が震えるような声で……。

「ごめんな」

 謝った。

「サチを、みんなを、キリカを守れなくて…………ごめん……」

 謝ってきたのだ。

 憎いはずの私に与えたのは、謝罪の言葉だった。

「は……なにを……」
「あの時、俺がもっと強く言っていれば守れた」
「いや、なにを……?」
「俺が、もっとしっかりしていれば生き残れたんだ」
「な、なんであやまっているの?」
「早く告げるべきだったんだ」
「あ、兄が謝る必要がどこにあるの? サチやケイタを死なせたのは、殺したのは兄じゃないでしょ? 全ての元凶は私なのよ!」

 なのに、
 なんでっ。

「キリカ…………俺を」


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