暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンラインーツインズー
SAO編−白百合の刃−
SAO16-約束の代償
[4/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
かできない。

「…………サチが求める答えとは違うけど、いいのか?」
「それでも答えて……」

 結果的に傷つくだろうな。何もかも全部正しくても傷つき、それが嘘でも傷つく。いったい、どれを選択すれば、傷つけずに済むのだろう。そして答えが本当にあるのかな?

「私達は茅場晶彦の目的に巻き込まれた被害者みたいなもの。でも、この世界そのものが夢であるように、現実でもあると思う。私達はゲームの世界の実験動物みたいなもので、どう生きて死ぬか、喜び、悲しみ、怒り、楽しみ、苦しみなど味あわせることだけど、それは現実世界よりも生きることをより実感させるために、私達はやり場のない自由と理不尽さを与えられたのさ。なんせ、サチはこの世界から逃げたいと思っていて、私はこんな世界は嫌いじゃないと思っている」

 正直、茅場晶彦がわかりやすい悪で欲しかった。わかりやすいデスゲームで欲しかった。ソードアート・オンラインの中で『キリカ』として、現実世界と同じように考え悩みながら生きてきた。彼はいつの日か、終わりを望んでいるかもしれない。この世界の始まりがあるように終わりもまた……。でなければ、茅場晶彦は私達を永久に閉じ込めることも出来るから。
 だけど、終わってみればきっと…………寂しくなってしまうんだろうな。
 だって、この世界が嫌いではないから……。

「そっかぁ……私は望んでもいないのに、巻き込まれちゃったのか……」
「望んでもいないからこそ……巻き込まれたんだ」
「しかも、現実世界よりも生きているって、感じちゃうのか……」
「サチ……」

 この時、サチに全てを打ち明けるべきだった。数字が力のある世界では私と兄の本来の高いレベルを教えれば、少しの不安は剃られて、ささやかな安心を得られたかもしれない。
 けど、打ち明ければ、私が兄を守ると言う気持ちも、兄自身も裏切ることになる。
 私が勝手に偽って味方になったけども、私が離れたら兄の回りに誰がいるの?
 私は兄を守るんだ。裏切ることなんて、できるわけがない!

「サチ」

 私は……覚悟と言う本当の意味も知らず、とてもとても重くて薄い…………約束を告げてしまった。

「死にたくないなら……私が守る」

 言うだけはタダだ。

 だけど一度言ってしまえば、後戻りはできない。

「サチは、サチも含めた皆を……絶対に死なせない。安心しろ、私は……強いからな!」

 そんなの口約束でしかない。綺麗事しかない。

 十代の女の子にとっては重い、覚悟。

 十代の女の子にとっては重くて薄い言葉。

 そんなことを私は何も知らずに、ただただと、縛る言葉をかけた。

「……やっぱり双子なんだね。キリトも似たような言葉を言ってきたよ」
「うわぁ、ま、まじか……」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ