SAO編−白百合の刃−
SAO16-約束の代償
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に前に進んでいた。
だから、サチが言ったこと考えたことない私は、そのままの言葉を口にするしかなかった。
「悪いけど、それは無理だ。逃げ出したいなら、その気持ちを持っている奴へ頼め」
「そう……だよね……」
ごめんねとサチは小さく笑った。
サチが言うことは本心か嘘かはわらないが、私は逃げ出すわけにはいかない。それはゲームクリアのこともあるけど、兄のこともそうだ。近くで見ないと危なっかしくて、周囲に壁を作る兄はいつか自分自身が崩壊する。そんな兄を私は見たくない、私が兄を守らなければいけないんだ。だって、そうだろ。
壁を作っている兄自身が、崩壊したら誰が積み上げるの?
誰が兄を支えるの?
いないでしょ?
だから、兄を置いて逃げるわけにはいかない。見捨てることはできない、絶対に。
だけど、その気持ちはサチの気持ちを受け入れていないことになってしまう。
「私ね……なんでそんなこと言ったのは……死ぬのが怖いから、昨夜逃げ出したの……」
だから、私はサチも守りたいと思った。今まで無理しても笑っていたサチが、恐怖で弱音を吐くサチを守りたかった。
「キリカ。何でこんなことになっちゃったの? 何でゲームから出られないの? 何でゲームなのに、本当に死ななきゃならないの? あの茅場って人は、こんなことして何の得があるの? こんなことに……何の意味があるの……?」
サチの本音。誰もが思う、昨日までは平和だったのに一転した恐怖の世界。サチは死ぬことが恐いんだ。だから何もかも逃げ出して楽になりたいと、その気持ちはわからなくもない。私も、兄も、楽にはなりたい。
「…………質問は、せめて一つにしろよ」
「ごめん……」
「いや、謝らなくていい」
死ぬのが怖い。レベルの数字が絶対的な力のゲームの世界、その世界で今は生きているけど、私は死ぬのが怖くなったことはない。武器を持って戦うことも、現実でゲームだと実感しつつ生きている。突然デスゲームが始まった日、茅場晶彦のやり方に理解できなかった人は多かった。
なぜこんなことするのか、大規模なテロなのか?身代金目的の誘拐事件なのか? そうではなく、茅場晶彦の目的はこの世界こそが最終的な目的。ソードアート・オンラインの中で私達を生活させること。
つまり我々は、たまたまソードアート・オンラインを買って『茅場晶彦の目的に巻き込まれた』不幸な人々と言うべきだろう。
我々は被害者になってしまった。そのせいで目の前の女の子は恐怖を抱いているなのに、私はこの世界のことを悪くはないと思い始めている。
それはなんて……救いようがないのだろうか。サチは何も悪いことはしてないのに、理不尽が許してはくれない。
そんなサチに送る言葉は、思ったことを言うし
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