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SAO編−白百合の刃−
SAO16-約束の代償
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……あぁ」
「……ごめんなさい」

 私は兄から離れる。後ろを向かず遠い彼方へと、どこに向かうわけでもなく歩き去った。



 第一層『はじまりの街』
 私は…………キリトから背を向けたまま、一層へ降りてやって来ていた。
 意思を持ってやって来たのではなくて、黒鉄宮にある『生命の()』と言う墓へ招かれるように足を運んだ。
 本来は、HPバーが0になってしまえばここへ蘇生されるはずが、今やプレイヤーの生死が確認できる、一万人のHNが刻まれた巨大な墓場。
 私はまだ夢だと悪あがきをしていた。でも、結局のところ何もなかったことにするなんて、夢の話であったんだ。

「あっ…………」

 生命の碑にはケイタやサチ、月夜の黒猫団のメンバーの名前に横線が刻まれている。
 これを意味すること即ち他界したことを意味する証である。
 
「何が…………何が守ってやるだよ」

 これが悪あがきもできない、夢にすることもできない真実。

「何も……守れなかったじゃないか……」

 皆を見捨て、誰も守ろうとはせずに逃げた。
 兄の味方なのに、私は兄の気持ちを裏切ってしまった。その結果がサチ達を殺してしまい、兄を悲しませた。
 サチと約束をした。守るって約束したのに、私はサチを…………見捨てた。
 私は強くなんてなかった。
 何もわかっていない、単なる強がりでしかなかった。その強さは何も果たすことなく、人を殺した。私は最低なクズだ、
 この世界はゲームであって遊びじゃない、私は心の底は軽視していた。なんとかなるんじゃないかと軽く思い込んでいた。
 自分の弱さと軽視が、サチ達を置いて逃げて殺してしまったんだ。

 本当の覚悟も恐怖も知らなかった。

 私の言葉なんて薄っぺらにすぎない。その薄っぺらな言葉をサチは……信じていたんだ。強がりでしかない私を純粋に信じていたんだ。

「う、うわぁ……あ、あ……」

 もう…………いないんだ。

「あぁ……ああ、あぁ……」

 私のせいでいないんだ。

「ああぁ……ああ……っ」

 私のせいで、永遠にサチの言葉を聞くことも出来ないんだ!!

「うわぁ……あぁ…………ああぁああああぁぁぁああああああああぁぁあああああぁぁああぁぁっ!!!!」

 泣き叫んでも、どれだけ泣いてもサチは戻って来ない。この世界での消滅が死を意味するものならば、サチは永遠に戻って来ない。

「ごめんなさいっ、ごめん、ごめんなさいっ!! 私のせいでっ、ごめんなさいっ、ごめんなさい!」

 死の重さ。
 恐怖によって仲間を見捨てた重さ。
 強がりでしかなかった自分の失態による、仲間の死。あらゆる重さに堪えきれずにただ生命の碑にすがり、涙が枯れるまでサチ達に謝罪し
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