SAO編−白百合の刃−
SAO16-約束の代償
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いい」
宿屋へと戻った私は兄と合流。酒場で兄はサチが盾剣士に転向せず、槍戦士を続けたほうがいいと告げて来た。
あまりにも唐突なことに私以外のメンバーは戸惑い始める。
「でも、キリト。それでは君に負担がかかるんじゃ……」
「俺のことなら大丈夫だ」
サチが前衛にいなくてもバランスが悪くなるわけではない。前よりは私も兄も負担はかかるが頑張れば問題ない。ケイタ達と私もそうだけど、どのようなやり取りが気になったが、兄の提案を受け入れてくれてひとまず解決した。
あくまでも……“ひとまず”は。
この日ばかりは、深夜の経験値稼ぎをやめて眠りについた。
●
翌日、昨夜のこともあって今日は経験値稼ぎせず、各自休みを取ることになった。
その日、私は昨夜のことで心配になり、サチのもとへと訪ねた。
「サチ」
ドアに二回ほど叩く。
「どうぞ」
サチの応答があったので、ドアを引いて中に入る。
部屋に入り、瞳に映していたのは、ベッドの上で毛布を被り、体育座りしていて微かに笑うサチの姿。
その姿が思い出せそうにない“誰か”と被って見えていて、混乱しそうになった。
「……たく」
私は平常になり、頭をかきながらサチの隣に座った。いつもならビクッと震えたり怯えたりするけど、今のサチは落ち着きすぎていた。
「……まったく、なに考えていんだよ」
「ごめんね、心配かけちゃって……」
「当たり前だ、バカ」
「ごめん」
「次したら、ぶん殴るからな」
「うん、わかった」
私は、本当にサチを心配していたのか? 昨夜は兄が必ずサチを見つかると信じているから、また明日もサチがいることを確定していることを思い描いていたから、ケイタ達のように必死でサチを心配して探そうとしてなかった。なら、今言ったことも……嘘になるのか。
なんだよ、それ……慰めも、心配も、嘘になるのかよ。
自分の言葉に罪悪感を抱いてしまう。そのせいか沈黙を作ってしまう。それを打ち破ったのは、私ではなく、サチだった。
「ねぇ、キリカはさ……キリカは……私が一緒に逃げようって言ったらさ、付き合ってくれる?」
「……何から?」
「全部。全部、何もかも投げ出してどこか遠くへ逃げるの……」
つまり、ギルドもモンスターも、この世界も逃げ出したいと言うことであっているのだろうか?
……なんて言えばいいのだろう。そんなことあんまり考えたことないから私にはわからない。私とサチは性格以前に気持ちの問題が違う。どうして全部逃げたいのか、私にはわからない。このソードアート・オンラインという世界に閉じ込められた私は、単純にゲームを遊ぶようにクリアを目指して戦ってきた。それで現実世界に帰れると思っていたから、ただひたすら
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