志乃「兄貴、先行って」
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かしくない奴だ。
だが、これまでで一度も男子と付き合った事は無く、いまだに手持無沙汰にしている。こいつなら彼氏作るの簡単そうなのに。
「よう、綾乃。何してんの?」
「私風紀委員だから、その仕事。って、伊月ネクタイ緩めすぎ!ちゃんと絞めてよ」
「分かったよ。じゃあなー」
一年と二年の区別など制服越しではそう簡単には分からないかもしれないが、二年の生徒からしてみれば、美少女の綾乃にタメ口を使っている一年生というのは、なかなかに調子に乗っていると思われかねない。ここは会話をすぐ終わらせた方が無難だ。
俺は係員に言われた通りに体育館へ向かい、そこで学校指定の上靴に履き替え、体育館に入って、学籍番号通りに並んでいる椅子から自分の番号を探し出す。自分の椅子はすぐに見つかり、静かに座る。
マジで帰りてえ。その一言に尽きる。
周囲には、高校生活に希望と不安を混じらせる新一年生が、緊張した面持ちで座っている。まぁ、俺も去年はそんな感じだったな。
ステージに一番近い位置に並んでいるのが一年生で、その後ろに二年、三年の在校生が続き、最後に保護者が座っている。妥当な配置だわな。
特にやる事も無かったので、俺は携帯を取り出してオフラインゲームを始める。これが暇つぶしに良いんだよ。無駄な事考えなくて済むしな。
すると、後ろから歩いてきた係の生徒に声を掛けられた。
「そこの一年せ……ごほん」
その係員というのは、幼馴染の三村健一郎だった。俺がダルそうに顔を上げ、健一郎を見上げると、
「携帯、しまっておくように頼むぞ」
「うぃーす、すんませんしたー」
俺が適当に返すと、健一郎は苦笑いしながら、元来た道を歩いていく。俺も受け狙いでやったから、あいつの態度には満足した。
そうこうしている間に、入学式は始まった。志乃の奴、どこ座ってんだ?
そういや、俺めんどくさくて自分のクラス確認してなかった。係の人も何も言ってくれなかったしなー。後で見るか。
にしても、〜式とかいうのは何でこんなに暇なんだ?はげたおっさんがベラベラ喋るだけじゃん。いきなり校歌流されても一年生が歌えるわけねぇし。何より歌う気ない。
入学式は一時間ぐらいで終わった。この後一年生は自分のクラスに移動して自己紹介して終わりらしい。んな事より帰らせてくれ。でもって、俺は何組なの?
皆が教室に移動する中を勝手に出て行くわけにも行かないので、仕方なく着いて行く。まぁ、そのうち何組かなんてすぐ分かるだろ。
そう楽観視しながら列に沿って歩き続ける。階段を何度も上り、やがて一年生の階に辿り着く。運動不足の俺には大分きつかったぞ、これ。
それからいくつかの教室
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