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「メ」から始まる異世界日記
月明かりの中に
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たしがわからぬか。まぁいい。貴様は運がいい」
その男の目を見たら…なんというか、悪寒がした。人を人として見ていないような冷淡ですらない無感情の目をしていた。
俺は正体不明の恐怖を感じながら、それでも剣をつくった。一番慣れたいわゆる日本刀のような形状の剣を。それを握るとわずかながら恐怖が薄れた気がした。
「ふっ…」
男は聞こえるか聞こえないかぐらいの声で笑いながら去っていった。闇に溶け込むように。
情けなかった。あの男を前に動けなかったこと。いや、今はそんなことなんてどうでもいい。それより外にでないと。
「あ…そ…そうだ、動ける? ケガとか…してない?」
辛うじて言えた言葉だった。まだ声も足も震えてる。あれほどのプレッシャーを感じたことがなかった。
「うん」
「そ…そう? とりあえず…でようか…?」
「うん」
それからはとりあえず灯りを持って出口を目指した。歩き出したら終始無言だった。行こう、と差し出した手を握ってくれたのがせめてもの救いだった。ただただ手から伝わる温もりに救われた。それがなかったら俺は…そんなことはありえないと頭では理解してるけど…あの男に押しつぶされそうな気がしたから。


ひとまずギルドに戻ったらバンギのおっさんとチワさんに洞窟でこの女の子が叫んでたと言った。男のことは話さなかった。思い出しただけで押しつぶされそうになる。あれはもはや呪いだ。そんな俺の心情を察してくれたのか何も聞かずにうなずいてくれた。
その女の子もギルドにいていいといわれたのでその日は俺はギルドに泊まった。
あんだけヒロイン探してたのにいざそうなると何もできない。名前も聞けてない。てか話せてない。そんな自分にイライラしながらその日は寝た。
朝起きて、学校はあれこれ理由つけて休もうかと思ったらチワさんに身も凍るようなステキな笑顔で
「いってらっしゃい」
と言われたので学校に行った。
まったく授業に身が入らなかった。いや、普段から入ってないが。そして俺の親友のハルキに何かあったと断定され、一方的に相談(というか尋問)された。そこで昨日助けた女の子に話しかけられなくて…と言ったら
「オレが行ってやるぜ! 任せんしゃいな!」
とかいって勝手にギルドまでついてきた。
あいつ農業ギルドだったろ…
暇してていいのか?
とにかく、目障りではあったがハルキを連れて行ったから話がすすんだんだ。
彼女は何者なのか、なぜあんなとこにいたのかが。
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