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第四十一話 同志と苦悩
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普段から厳しい千冬さんと相対しているわけだから仕方ないか。
そんな折、再び千冬さんから視線。
あぁ、何か酒の肴を用意しろと。僕は苦笑いしながら、再び冷蔵庫に向かい扉を開ける。この部屋には小さいながらもキッチンがある。これは教職員に割り当てられている部屋だけらしいけれど。そして冷蔵庫の中には恐らく千冬さんが持ち込んだであろう食材もあったので、最初から僕に作らせる気だったのだろう。
「さて、せっかくこうして集まったんだ。お前らの本心を聞かせろ。この中で一夏に惚れているのは?」
『!?』
僕が簡単なツマミを作っている間何らかの話をしていたようだけど、その後にいきなり投げかけられた千冬さんの直球な質問に、数人が反応する。
やはりというか、あからさまな態度を見せたのは、セシリアさんと鈴さんと箒さんの三人だ。あとの三人は質問の内容に驚いた、といった様子だ。
「ふん、やっぱりか。まったく、あいつのどこがいいのか」
そう言いながら、ビールを一気に仰ぐ。
僕もちょうど準備が終わったので、千冬さん用とそれ以外につくった簡単なものを持って行き、ビールの追加も渡す。
みんなは、普段の毅然とした様子からは想像もできない千冬さんの様子にかなり驚いているようだ。まぁ、今の姿は完全に酔っ払いが絡んでいるようにしか見えないからね。
「ふふ、お前はやっぱり気が利くな。料理もうまいし、言うことなしだ」
「ありがとうございます」
周囲の困惑を余所に、早速料理に手をつけながら再びビールを飲み出した千冬さんは、僕に向かってそんなことを言い出す。せっかくのお褒めの言葉なので僕は苦笑しながらお礼を言った。
「あ、あの……織斑先生はお姉様とはどういったご関係ですの?」
恐る恐る、といった様子で僕らの関係を聞くセシリアさん。
普段学内ではあまりこういう関係を見せないから、今のツーカーな状態は確かに不思議に思うかもね。
そんなことを考えながら、僕も適当な場所に座って自分用に持ってきたドリンクを口につける。
「ふむ……こいつは一夏の許嫁だ」
「ぶふぅ!」
んぐ……ごほっ、あ、危ない、吹き出すところだった! 耐えきった僕を褒めて欲しいよ! っていうか、他の皆は我慢できずに大変なことになってるよ!
「ち、千冬さん。何を言っているんですか!」
「冗談だ」
「ちょ!」
目の前の惨状を見てニヤニヤしている千冬さん。絶対、面白がっているなこの酔っ払い……。
あっさりと前言を撤回した千冬さんに鈴さんも思わず突っ込みを入れている。
「まぁ、付き合いが長いだけだ。だからこそわかるが……いい女だぞ? 一夏が欲しいならこいつを超えてみろ。操縦者としても、女としても、な」
「千冬さん!」
僕は
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