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第四十一話 同志と苦悩
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お前も……ん、うま、くなった、な』
『少しでも気持ちよくなってもらいたいからね』
『ば、馬鹿者……あぁっ』
……千冬さんの艶めかしい声と織斑君のちょっと息が荒くなった声が聞こえてくる。
「こ、これはまさか……」
「一夏ったら、私たちにまったく気がないと思ったらまさか千冬さんと……!」
「む、むぅ。しかしこれは強敵が……」
織斑君にあからさまにアプローチをしている三人は顔が赤くなったら青くなったり割と大変なことになっている。
他は単純に中で行われている出来事に興味津々といった様子だ。なんだか、最近簪さんに対する僕のイメージが崩れていってるんだけど……。
まぁ、確かにこの声だけ聞いていたら勘違いしても仕方ないけどこれは恐らく……。
「はぁ、まったくあなた達は……。織斑先生、失礼しますね」
「あ、ちょ、ちょっと紫音!」
鈴さんが制止してくるけれど僕は構わず、部屋の扉を開け中に入る。
「ん……あぁ、西園寺か」
背後からキャーキャー声が聞こえるが気にせずに部屋の中に進むと、そこには織斑君にマッサージを受けている千冬さんの姿があった。まぁ、こんなことだろうと思った。
「はい、戻りました」
「あぁ。それと、そこで盗み聞きしている連中も入ってこい!」
やっぱり気付いていたか。
恐る恐るといった様子で皆が入ってきて、二人の姿を見てなんともいえない表情になっている。
「こ、こんばんは織斑先生」
「まったくお前らは。あぁ、お前は風呂にでも行って部屋に戻れ。汗もかいただろう?」
「へ? あ、あぁ。そうするよ。それより千冬姉、かなり凝ってたかぞ? 無理すんなよ〜」
「ふん、お前に心配されずとも。まぁ、だが楽にはなったよ」
普段はあまり見られないやり取りに、見慣れていない面々は少し意外そうな表情で見ている。鈴さんや箒さんはそうでもないけれど。
「あ、じゃぁあたしらもこれで失礼して……」
我に返った鈴さんが織斑君に便乗して退室しようとしたら、いつの間にか千冬さんによって肩を掴まれている。
「まぁ、せっかく来たんだ。話くらいしていけ……西園寺」
そう言い、僕に目で何やら要求してくる。
……あれは酒を寄越せってことだね。
「はぁ、わかりました。皆さんも適当に座っていてください」
訳が分からず、といった様子の皆は言われるがままに空いたスペースに座っていく。
その間に僕は備え付けの冷蔵庫を開けて、中から千冬さん用のビールと、あとはソフトドリンクを適当に出して、腕に抱える。ひんやりとした感触が気持ちいい。
千冬さんから順番にそれぞれドリンクを配り終えるころには、みんな我に返っていたけれど、逆に今の状況に緊張しているようだ。まぁ、
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