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第四十一話 同志と苦悩
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「まぁ、いい。それよりもこれからだ。海に行くんだろうから、事前にここで着替えておけ。水着は大丈夫なんだろう?」
「あ、うん。できれば遠慮したいんだけどね」
「お前が参加しなければそれを訝しむ者も出てくるだろう。我慢するんだな」
もっともなので、何も言えない。それに前々から覚悟していたことだし。
とはいえ、それでも……! 女物の水着を着るのは抵抗があるんだよ!
「ふふ、これを乗り切ればお前に疑いを持つ者など今後現れんさ。今でも十分騙しおおせてるんだからな。逆に真実を突き付けても誰も信じんぞ」
「人聞きの悪いことを……まぁ、事実かもだけど」
うん、最近自分が男の姿でいることを想像できなくなってきている。ちょっとまずいよね。
今度の休みにでも遠出して男の恰好して一日過ごそうかな……そうでもしないと本当にまずい気がする。
「さて、私は先に出る」
「うん、了解」
そう言い残し、千冬さんは部屋を後にする。
彼女の言葉に、次の休日の過ごし方を思案していた僕はなんとか現実に戻ってきた。
「……はぁ」
そうして一人になると、やはり水着になるという非情な現実に直面しなくてはいけなくなる。
鞄から取り出した、去年に用意してもらった水着を手にとると、自分でも顔が引き攣っているのがわかる。
幸い、サイズは一年前と変わっていない。事前に、本当に嫌だったけれど念のために試着をしたときは大丈夫だった。幸い、昏睡から目覚めたあとに落ちていた体重は適正までに戻っている。筋力は完全ではないけれど、とりあえずは問題ない。まぁ、胸のサイズは変わらない訳だし……。
悩んでいても仕方ないので、とにかく着替える。
認めたくないけれど、こういうものにもう慣れてきてしまっているのでさほど時間もかからずに着替え終わる。
おかしいところはないか、鏡でチェックする。
楯無さんをして、本物と見分けがつかないと言わしめた胸。見た目だけでなく感触まで本物そっくりだ。僕も最初のころはドキドキしてしまった……もう慣れたけど。いや、それはそれで何かを失った気がするんだけど!
そして、それと同じ質感で下半身を覆うサポーターつきの水着。一応、これだけでも誤魔化せなくはないのだけれど、よく見ると少しふっくらとしてしまい違和感が残る。だからパレオもセットになっている。
水着の色は白基調で、薄い青と白のグラデーションのパレオが巻かれている。
……白は着こなすのが難しいって、前に買い物に行ったときに聞いたけど大丈夫かな?
トップは派手な装飾はないけれど、若干のフリルのようなものがついている。それでいて、いやらしくない程度に胸元が見えるようになっている。
ボトムはビキニタイプではなく、フレアショー
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