第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
四十三話 因縁
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「虚空の言う通り書類を見ると幾つかの取引で向こうと繋がりが在る所はあるが……間違い無いのかい?」
「あくまで予想だから間違ってるかもしれないけど自信はあるよ。あの大戦から五十年経つからね何かしらの動きがあってもおかしくないし、あそこなら妖怪と手を組んでも不思議じゃないでしょ」
僕の発言を聞きながら神奈子は書類に視線を落とし一言呟いた。
「熊襲…か」
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筑紫の国(今の九州)の南部に本拠地を持つ筑紫の国の支配者。今現在大和に併合していない唯一の神々の国である。
五十年前大和は筑紫の国に攻め上がり後一歩の所まで追い詰めたが熊襲は大和が予想もしない方法で状況を一変させた。
妖怪との連合。妖怪排他主義の大和には、いや神として妖怪の集団と共闘するなど考えもしなかったであろう。
熊襲は当時伊予阿波二名(今の四国)を支配下に置いていた鬼「茨木 轍扇(いばらき てっせん)率いる妖怪集団に共闘を打診し大和を挟撃、敗走させた。
その敗戦での傷と熊襲と妖怪勢の二面攻撃に大和の軍は後退を余儀なくされ播磨(今の兵庫県辺り)まで押し返されてしまう。
その報を受けて前線から離れていた神奈子と虚空に召集が下り大和の反撃作戦が開始される事になる。熊襲・妖怪連合の侵攻に対して神奈子と虚空が立てた策は二面作戦だった。
虚空が諏訪大戦の時に使った作戦を模した大将を囮にしての奇襲策。
天照・月詠・神奈子が率いる本隊が熊襲本隊目掛けて突貫、そこを妖怪軍が側面から襲撃しようと動いた所を須佐之男・虚空が率いる別働隊で背後から奇襲し、妖怪の大将を撃破後、熊襲の軍の側面に突撃し大和の本隊と挟撃をかける。というものだった。
作戦開始当初は問題無かったのだが熊襲の軍は不利と見るや大和の軍を受け止めつつ伊予阿波二名にまで戦場を下げ彼の地にて両群入り乱れの大混戦となってしまう。
混戦となれば互いに連携は取れず本体と別行動を取っていた虚空と須佐之男の部隊は孤軍として妖怪軍と対峙しなくてはならず苦境へと立たされた。
それを救ったのは伊予阿波二名で鬼の支配を良しとしない別の妖怪の集団である。
隠神刑部狸を大将とする集団は大和に加勢する条件として伊予阿波二名に今後干渉しない事を提示し、須佐之男がその条件を承諾した事で戦況は一気に変わった。
そして虚空と須佐之男により茨木轍扇が討たれると妖怪軍は瓦解し、その煽りを受け熊襲の軍も大きな損害を出し筑紫の国の豊前(今の福岡県辺り)まで撤退していった。
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