第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
四十三話 因縁
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ので視覚と聴覚を共有しています。そしてこれをそれぞれの種族の集落に放ち情報を集めているんです」
文の手から離れた黒い雀は店内を数回飛び回り文の手元に帰ってくると元の羽根へと戻る。
「……私達は他種族を見下しているくせに何よりも他種族の事を知りたいのですよ…それなのに他者を拒み蔑み……なんて間抜けで傲慢なんでしょうね……だからあの人は一族を変えようとした……」
文は俯きながら自嘲するかのようにそんな呟きを漏らす。その瞳に宿っているモノは悲哀と憎悪、大切な者を奪われた時に誰もが抱く黒い感情だろう。
そう誰もが抱くモノではあるが彼女の状態はあまりよろしくない、今の文を見ているとあの時の事を思い出すな。僕は横目で諏訪子に視線を向けると諏訪子は文を見て複雑な表情を浮かべている。
「……つまらない事を吐露してしまい申し訳在りません。……誠に勝手ですが私はこれで失礼させて頂きます」
文はそう言うと僕達の返事も聞かず足早に畳屋を後にした。
「……あの時のあたしもあんな感じだったんだね……」
諏訪子は文が立ち去った店の入り口を見つめながら独り言の様にそう呟く。心に宿る黒い感情がどれだけ危ういものかを身をもって知っている諏訪子だから文が心配になったのかもしれない。
「まぁ冷たい言い方になるけどあれは自分でどうにかしないといけないものだからね、僕達にはどうしようもないよ」
僕は諏訪子にそう言いながらお茶を口に運び、諏訪子は団子を一つ頬張り再び呟いた。
「……あの時のあたしみたいに虚空を滅多打ちにすれば収まるんじゃないかな?」
「……諏訪子さん、あの時も結構危ない橋渡っていたんですよ僕」
畳屋の静かな店内に僕のそんなツッコミが響き渡った。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
神社に戻った後久しぶりに(たかが数日振りだけど)一家勢揃いでの夕食となった。夕食の席には弦州と地子もおり、弦州は同じ娘持ちの父親だからか綺羅と意気投合し、地子はさとりとこいしと一緒に楽しそうに団欒していた。
ちなみに神社に帰り着き玄関を開けた時に行き成り幽香に殴り飛ばされるという出来事が発生、理由は本人曰く「よくもまぁ面倒事を押し付けてくれたわね!弦州を説得するのにどれだけ苦労したと思ってるのよ!」との事。幽香にそう言われるまで畳屋での事をすっかり忘れていた僕はその後幽香に滅多打ちにされたのだった。
弦州と地子は数日は神社に泊まるらしく弦州は綺羅とルーミア、幽香と宴会に移行し地子とこいし、さとり、紫、栞、百合は別室でかるたをしている様だ。
そして僕と神奈子と諏訪子は僕の部屋で会議中だ。今回起こった一連の出来事を纏めてみると全てが繋がっ
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