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久遠の神話
第百四話 最後の戦いの前にその一
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                 久遠の神話
             第百四話  最後の戦いの前に
 加藤はこの時も戦っていた、とはいっても今は剣士としての戦いではなかった。 
 ストリートファイトを行っていた、見ればマーシャルアーツに古武術、さらに蟷螂拳まで入れた動きでだった。
 相手を攻めそのうえで倒した、そうして言うのだった。
「そこそこ楽しませてもらった」
「あんた、何て強さだよ」
 倒された相手はまだ十代だった、体格は彼よりかなり大きい。
 しかしだ、叩きのめされ横たわり自分の前に立っている彼に言うのだった。
「俺はずっと負け知らずだったんだぜ、その俺をな」
「あんたはレスラーだな」
「ああ、そうだよ」
 その通りだとだ、男は彼に答えた。
「高校のプロレス研究会だよ」
「レスラーはタフだ、しかもあらゆる技を使うからな」
「だから自信があったんだけれどな」
「すぐにプロレスの団体にも入られる」
 加藤は何とか起き上がろうとする男にこうも言った。
「勧めるがどうだ」
「高校卒業したら入るつもりだよ、けれどな」
「負けたことはか」
「まだ信じられねえよ」
 何とか起き上がろうとしながら彼に言った。
「あっという間にやられたからな」
「そうか。俺はそこそこ楽しめたが」
「一方的にやられたよ」
「そう思うか、あんたは」
「そうだよ、しかしあんた何者だよ」
「戦いたいだけだ」
 男に対して何でもないといった顔で答えた加藤だった。
「ストリートファイターだ、ただのな」
「それだけ強いと何かなれるだろ」
「格闘選手権か何かに出てか」
「そうだよ、格闘家になれるだろ」
「俺は戦いたいだけだ、しかも表の戦いはやれることが限られている」
「だからストリートファイトをしているのか」
 男は何とか立ち上がれた、それで手で服の汚れを払いながらまた言った。
「俺ははじめて参加したけれどな、腕試しに」
「そうだったのか」
「ああ、それでもな」
「俺にやられてか」
「世の中上には上がいるんだな、勉強になったよ」
 加藤にこうも言うのだった。
「本当にな」
「またストリートファイトをするか」
「いや、やっぱり俺はな」
「レスリングか」
「そっちにするよ、けれどあんたプロレスラーにもなれるよ」
「だから表の世界は限られているからな」
「それでか」
「興味はない」
 あくまで素っ気なく答える加藤だった。
「気持ちだけ受け取っておく」
「そうなんだな。ところであんた普段は」
「掃除をしている」
「掃除?」
「清掃業だ」
 表の仕事のこともだ、加藤は男に答えた。
「それが俺の仕事だ」
「おいおい、それで何でそんなに強いんだよ」
「決まっている、好きだからだ」
「戦うこと
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