例えばこんな願いを抱くのはおかしいかな
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、抑制プログラムをスルー出来る脳波とオウカの得た独自発展の共有データによってIS達のリミッターは次々に解除されていった。それはある種での成功であり、束にとっては棚から牡丹餅の幸運となる。
ISが人と同じ形を欲する可能性は考慮していた。ISは人の模倣でもあるのだから、そういう欲求を抱く可能性は十分にあった。だがそれはフラグメントマップ成長率が6割を過ぎる辺りで起こるという推測の元であり、成長率が2割に満たないウツホやオウカが人間としての行動を取れる段階まで自意識を確立するとは考えていなかった。間違いなく、ゴエモンからダイレクトに人間のカタチを受け取ったものだった。
子が親に近づこうとするように、子供が大人になりたいと願う様に、オウカはゴエモンの隣に―――パートナーの隣に立ちたかったのだ。
そればかりかゴエモンはスペアプランにまで干渉し始め、ニヒロのプランとメインプランを直結させてしまった。空っぽの器に「心」を満たし、ミニネットワークによるより少数での”ひな形”形成・・・だが、刺激されたニヒロはそれでは足りないとコア・ネットワークへ干渉し、記録海に手を伸ばし、ひな形の材料を自分で拾い上げてしまった。
そしてついこの間―――ジェーンの器に心が満たされたことで、メインとスペアの混ざり合ったユニゾンプランが完成した。それは待ちに待った人間の少女の元型、ゴエモンが言った通り、精神的な意味での「人間」そのもの。
「ニヒロのマップそのものが、お前が喉から手が出る程に求めた”ひな形”・・・・・・そうか、それでは」
「うん。ここ・・・このウサ耳を経由して共振によるインストールが完了したよ」
道理でいつもと違う訳だ、と今更になって千冬は納得する。普通に会話していても時折話がかみ合わないことの多い束が、今日は随分流暢で円滑に言葉のやり取りが出来ている。表情も随分人間的になった。
だが、と思う。人間の脳はPCとは違うのだから、インストールなどという一言で片付くほど簡単にそのひな形を自分の心に組み込めたのだろうか。そんなことをして、人は平気でいられるのだろうか。
「お前、大丈夫なのか?」
「大丈夫・・・じゃ、ないかも、ね」
くしゃっと顔を歪めた束は両腕で自分の肩を抱く。それは子供が親に叱られるのを怖がっているような―――少なくとも千冬には、とても人間的な行為に見えた。
束は反省はしても落ち込むことはない。終わったことを反芻して悩みを抱える事も無い。恐れも、表面上はリアクションを取っていようと本音では怖く思っていない。そんな束の肩が、震えていた。
「ISの開発からずっと、ずっと・・・・・・私がどれだけ恐ろしいことをして、どれほど罪と呼べるだけの行為や干渉をしたか、今なら分かる。ISのおかげで平和になったって言う人も
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