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神の子は世界を巡る《緋弾編》
第W章 月華の叫び
第023弾 「絶望」
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式を掛ける。
鵺のかけた術式のせいか、身体から流れる血は止まり、身体もさっきよりはましになる。
――が、身体には暴力的なまでの重力が掛かり、下水道の冷たい地面と俺を貼り付け、ピクリとも動けなくする。

「びょびょ、鵺はお前を殺せないっじょ。だけど、お前の大切な者を殺して、絶望を与える事ぐらいはできるっじょ」

鵺は"びょ、びょ、びょ"と、薄気味悪い笑いを浮かべているがまず、俺には.........
鵺が何を言ったのかが、理解できなかった。―――嫌、理解できなかったのでは無く、認めたく無かった。

「ア"ァ"やめろ"鵺....ッッ」

鵺はそんな、静止の声を無視し、緋色の門を開く。

「こんな、術式を真逆につかうなんて真似、したくないっじょが、仕方ないっじょ」

鵺は、緋色の門の中に手を伸ばし、何かを引きずり出す。
―――嫌、何かなんて曖昧な表現じゃ無い、いつも俺の隣に居てくれる少女........リサが門より引っ張り出せれた。
リサは状況が解っていないのか、傷だらけの俺に慌てて近寄ってくる。

「リサ.....ダメだ.....逃げ....」

――――グシャ

俺が最後まで言葉を紡ぐ前に、鵺の手により、リサの心臓が―――引きずり出されていた。
リサの心臓から大量の鮮血が吹き出し、眼下を染め上げた。

「ご主人......さ........まぁ......」

リサが身体の力を失い、俺の方に倒れ伏す。リサは最後の力を絞って俺の、頬に手をかざす。

「リサは........ご主人....様.....と...居れて......幸せでし......」

リサの目から、生気が失われ、言葉を最後さえ言えぬまま、その短い生涯に幕を閉じた。

「ぁ"ぁ"ア"ア"ア"ァァァアアアアアアッッッッッ!!!!!!」

俺の絶望のこもった悲鳴が、オランダの街に響き渡った。


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