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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十六話 調印式
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が握手をします。またフラッシュが焚かれます、女帝陛下と議長はそれを気にする事無く使用したペンを交換するとにこやかに話し合っています。

この話し合いの内容も事前に決められています。
“こうして皇帝陛下に御会い出来た事を大変嬉しく思っております”
“私も同じ想いです。議長、良く来て下さいました”
“我々は捕虜交換において協力し合う事が出来ました。それ以外でも協力し合う事が出来るのではないかと考えています”
“その通りです。私達は人類の未来と繁栄について責任ある行動を執らなければなりません。もっと協力し合うべきだと思います”

調印式が終わるとトリューニヒト議長は記者会見ですが、そこではアマーリエ陛下との会話の内容が発表されます。分かると思いますが両国トップが同盟、帝国は人類の未来と繁栄について協力する事で合意したことになります。調印式は形式的なものですが明日以降行われる首脳会談はこの形式を踏まえた上で行われるのです。つまり首脳会談の内容は両国がどういう協力が出来るかを話し合うという事になります。和平という言葉は何処にも出ていません。そうです、和平は協力の中の一部でしかないのです。

二人が立ち上がりました。トリューニヒト議長が深々と頭を下げます、今度は跪きません。女帝陛下も軽く頷いて礼を受けました。そして別々にそれぞれの随行員の所に戻りました。次からは最高評議会議長は跪きません、頭を深く下げるだけです。但し他の人間は何者であろうと女帝陛下の前では跪く事が要求されます。つまりこの銀河で皇帝に跪かない唯一の存在が最高評議会議長なのです。

「御苦労様、疲れたかね?」
「ああ、予想以上に疲れたよ」
戻ってきたトリューニヒト議長をホアン委員長が労っています。
「これから記者会見だ。もうひと頑張りしてくれ」
「分かっている、記者会見が終われば晩餐会だ。それを楽しみに頑張るさ、さあ行こうか」
議長を先頭に大広間を出ると帝国の護衛兵が周囲を固めました。議長が“プレスルームへ”と言って場所を指定します。護衛兵達が歩き始めました。




帝国暦 487年 6月 16日  イゼルローン要塞    オットー・フォン・ブラウンシュバイク



イゼルローン要塞の一室に帝国、同盟の人間が集まっていた。中央のテーブルに六人、帝国からは統帥本部総長シュタインホフ元帥、財務尚書ゲルラッハ子爵、そして女帝夫君であるオットー・フォン・ブラウンシュバイク、つまりわしだ。同盟からはトリューニヒト議長、ホアン・ルイ人的資源委員長、エーリッヒ・ヴァレンシュタイン最高評議会諮問委員長が座った。

それぞれの後方には随行員が控えている。レムシャイド伯も後ろに居る。会議の雰囲気は悪くない。捕虜交換が無事終了したこと、そして昨夜の晩餐会が和やかな雰囲気の
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