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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十六話 調印式
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ば」
ブラウンシュバイク公とトリューニヒト議長の遣り取りに笑い声が上がりました。良い雰囲気です。ちなみに議長と二人の委員長はモーニングコートを着た正装です。他の随行員も文官はスーツ、武官は礼装を纏っています。私も白の礼装を着ていますがこれを着るのは特設第一艦隊の結成式以来です。
ブラウンシュバイク公が先導しトリューニヒト議長、ホアン委員長、レムシャイド伯、ヴァレンシュタイン委員長が続きます。私達随行員はその後を歩きました。そして私達の周囲を帝国軍人が包囲するような形で警護しています。彼方此方から私達を見ている人間もいます、ヒソヒソ話している人間もいる。ちょっと怖いです、落ち着きません。
ヴァレンシュタイン委員長の傍に両側から挟むように二人の軍人が近付きました。危ない! そう思って割り込もうとすると“エーリッヒ”と話しかけるのが聞こえました。
「アントン、ギュンター、久しぶりだ」
アントン? ギュンター? 嬉しそうな声です、知り合い?
「本当に久しぶりだ。それにしても良く来たな、無謀だぞ」
「仕方ないさ、来る必要が有ったんだ」
「安心しろ、卿の安全は俺が命に代えても守る」
そう言うと左側の男性が委員長の肩を叩きました。
「ギュンター・キスリングにそう言って貰えるとは……、心強い限りだ」
「俺が今生きているのは卿の御蔭だ」
「イゼルローンで助けた卿に今度はそのイゼルローンで助けられるか、人生は面白いね」
「馬鹿、笑っている場合か」
そう言いながら笑っています。ようやく分かりました。ギュンター・キスリング、イゼルローンで負傷していた捕虜です。もう一人のアントンはアントン・フェルナーでしょう。二人とも委員長の親友です、ホッとしました。
「しかし、こうしてまた会えるとは思えなかった」
「そうだね、私も難しいと思っていた」
「ナイトハルトも会いたがっていた。残念だが奴は艦隊を率いる立場だからな」
「晩餐会には奴も参加する。そこで会えるさ」
「そうか、楽しみだね」
ナイトハルト・ミュラー准将、門閥貴族の残党を制圧した功績で少将に昇進したと聞いています。帝国軍の若手指揮官では結構有名なようです。ダンスをした事を思い出しました。なかなかの好男子だったと思います。
桟橋から通路に出て本当の意味で要塞内部に入りました。エスカレーターを使って階を移動します。厳戒態勢です、大勢の帝国軍人が警戒し指揮官らしい人物が厳しい目で周囲を睨んでいました。時折“ヴァレンシュタイン”、“ニーズホッグ”等という声が聞こえます。さらに通路を歩くと調印式が行われる大広間に到着しました。大勢の帝国人が私達を待っています。
私達が大広間に到着すると激しいフラッシュが焚かれました。要塞には同盟、帝国からマスコミが要塞に来ています。大広間
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