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翅の無い羽虫
第二章 私たちの国
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れば薄々納得してくれるが、やはり向こうも慣れないだろう。
 同僚に「ホルモンとかどうなってるんだよ」と聞いてきたが、確かに脳が男性ならば男性ホルモンが圧倒的に分泌されるだろうが、被験体の肉体故か、それとも臓器にあるのか、濃い髭や体毛といったものは生えてこない。筋肉は何故か前よりつきやすくなった気がするほど力量が増したが、見た目には現れてこなかった。

 壁に飾られた時計を見ると5時半を過ぎていた。外は少し明るくなり、夜明けが来るところだ。
(こんな清々しい朝なのに、とんでもない事態になったな)
 爆心地やその周囲の人々はどうなったのか。自問したところで自答しか返ってこない。
 死んだ以外、何がある。

 私は再び携帯の電源をつけ、警報内容の詳細を読もうとしたが突然のコーリングが遮らせた。
 画面には知っている名が表示されていた。
「なんだアマノか……こんな朝早くにどうしたんだ」
 私は画面に映る通話ボタンをタッチし、端末に向けて話しかける。今では通のテレビ電話機能だ。
「よぉ、こんな朝早くからどうしたんだよ」
 可愛らしい女性像が台無しな口調で気軽に話す。アマノは私の働いているとこの同僚だ。
 画面に映る顔を見ても解るが、比較的にアマノの大人しい顔は女性に人気があるようだが無愛想でノリが悪く、普段無口であるため、基本は一人だ。だが、そんな奴から私に電話を掛けるとは一体何事なのか。
『……なんだ、起きてたか……おはよう』
「お、おう、おはよう」
 マイペースでよくわからないのも彼のスタイルだ。
『速報見た? 核兵器落とされたらしい』
「ああさっき知った。どうなるかな」
『さぁな。あ、全国民外出禁止令出たから』
「禁止っていっても、別になるべく出ないようにしてくださいってことだろ?」
『うん。ここは特に影響ないと思うし、普通に朝以外なら外出ても大丈夫だと思う。あと、ほとんどの会社は今日休暇になったよ』
「そうか……まぁ当然だろうが、俺らは出勤だろ?」
『そう。……なぁ、その声で『俺』って言われるとなんか女性らしくないしみっともない』
「とうとうアマノまで言うようになったか。でもそういうのってなんかなぁ……」
『……そんなことより』「お前が振ったんだろ」
『核だったのは意外だったけど、他国がこの国を攻撃したってことは……もう解りきっているだろ』
「ああ、『大国』への宣戦布告。
 ……戦争の引き金を引いてしまったってことだ」

 私たちの国は植民地である。
 とはいえ、そこまで虐待的な労働や教育などは強いられていない。易しく言えば協定を結んだと言ってもいい。
ではなぜ植民地と称されるのか。しかしその解答を知ればすぐに納得がいくはずだ。
 国民の提供。残酷に言えば人肉の提供だ。
 この国の人口は他国
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