SAO編
第二章 曇天の霹靂
As2.村正
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た」
ファムはその言葉に救われたという。
もう一度、剣を手にとってみようとさえ思ったらしい。
そして、一週間も連絡をとってなかった友人に、自分の決意を話そうと、メッセージを送るためにフレンドリストを開いた。
「……でも、ぼくは結局あいつと二度と連絡を取ることは出来ませんでした」
何故なら、リストに表示された彼の名は、既にグレーアウトしていたから。
「後悔……しました。何故あのとき。ぼくはあいつと一緒に行かなかったのかと」
けれど、泣き伏せるということはしなかった。そんなことをすれば、友人の死を本当に無駄死ににしてしまうから。
だから、ファムは街を出た。色々な感情がせめぎ合って、誰かを頼ることも出来ず、結局は一人で戦うしかなかった。
「それから約二ヶ月を一人で過ごしました。ようやくギリギリだけど最前線へ出れるくらいのレベルにもなって…………でも、もう限界でした」
寂しくて、人の温もりが恋しくて、だけど今さら頼れる人も居なくて。
「そこで出会ったのが、あなたでした」
だから、あんなにも不自然にはしゃいでいたのか。
――それが俺みたいな無愛想な奴でも、か。
「ぼくは久しぶりに自分以外の人と一緒に居る楽しさ、そして心強さを感じました。誰かが傍に居るって、すごく安心できるんだなって」
「…………」
それは、俺も少しだけ思った。
初めてとも言っていい誰かと共に歩く行為。普段、周りの奴らに感じているウザい気持ちは抱かなかった。逆に……そう、心地よささえ感じた。
「あの、その、それで……こんなことを言うのは、都合が良いってことは解っています。だけど、言わせて下さい。――――ぼくを、仲間に入れては貰えませんか……っ?」
ぐっと頭を下げて乞うファム。
その両手は痙攣するほど硬く握り締められ、彼の不安を如実に表している。
こいつの想いは解った。一人の寂しさは、認めたくは無いが俺も感じていたことだ。
結局人間は一人では駄目なんだ。一人が好きでも、それでも誰かが周りに居る。例え自分とは関係の無い人だとしても、眼に映る範囲で、すぐ声をかけられる範囲で、《誰かしら》が居るからこそ、思う存分《孤独》に浸ることができる。《安心》して、一人になることが出来る。
しかし、SAOでのソロプレイは、それとは全く別のものだ。
今のSAOはゲームじゃない。ある意味で現実。SAOでの孤独は、現実での孤独と同義だ。
だからこそ、一人は辛い。一人は苦しい。
俺自身、感じていた。いや、ファムと出会ったことで、それが確信に変わった。
――孤独による心細さ。
俺が自ら望んで、そして現在、俺を苦しめている原因。
ファムの提案を受け入れれば、この苦しみから
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