SAO編
第二章 曇天の霹靂
As2.村正
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式サービス開始当日、SAOに一緒にログインしていました」
ファムはゆっくりと話し出した。
あの運命の日、ファムとその友人は茅場晶彦の《SAOデスゲーム化宣言》を聞いた。
ファムは怖くなり、外部――現実世界からの救助を、はじまりの街に籠って待とうとした。
しかし、ファムの友人はそれに反対。逆に街から出て、レベルを上げた方が良いと主張したらしい。
――その気持ちはよく解る。俺もそうだったからな。……が、数ヶ月経って気持ち的に落ち着いた今は、はじまりの街で救助を待つ者の気持ちも解らないではない。
いやむしろ、救助を待つ方が人として理性的な行動だ。
茅場晶彦の言葉が真実かどうかも不明な状況下、「HPがゼロになったら死ぬ? だったらレベルを上げて強くなり、安全を確保だ」なんて考えるほうがどうかしている。正確な情報が得られるまで様子を見て、情報を集めて、危険な行動をしないというのがベストだったんだろう。
まあ結果として、茅場晶彦の言葉は真実――数ヶ月経って改善の兆しも見えないことから――であり、早期に自己強化を行った者たちの方が、ある意味、正しかったとも言えるが。
「……ぼくたちは、ケンカ別れのようになってしまいました。そして、そいつは街を出て行き、ぼくは安い宿の部屋でずっと泣いていました」
それから一週間、ファムは寝て、起きて、食べて、泣いて、また寝る、という繰り返しだった。コルが尽きかけて食糧や寝場所が満足に得られなくなってきても、どこか他人事のように感じていた。街中に自分と同じような無気力なプレイヤーが溢れていた。そして、その光景を見て更に気分が落ちる。
「――そんな状況が終わったのは、思ったよりも早かったでした」
ある日の正午、シンカーという名の男が突然、中央広場で演説を行った。
曰く、この状態が続くのはよく無い。早急に脱しなければいけない。
まずは腹が減っては気分も良くはならない。食事を用意したので、これで食欲を満たしてくれ。
皆が不安となっているのは、理由は多々あるだろうが、一番の要因は《孤独》だ。
家族が居ない、親友が居ない、恋人が――此処には居ない。
普段、身近に居るのが普通の者たちが居ないというのは、それだけで人を不安にさせる。
要するに、安心できる場所が無いのだ。心休まる時が無い。
孤独を好む者とて、それは周囲に人が居て初めて成り立つ孤独であり、本当の意味での孤独が好きなのではないだろう。
――耳が、痛い……。
「ならば、みんなで助け合おう。一人では危険なモンスターだって、十人で戦えば危険度はぐっと減る。二十人、三十人で戦えば更に減る。もう《ひとり》はやめよう。《みんな》で、このゲームをクリアし、現実世界へ帰ろう。……そう、言っていまし
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