SAO編
第二章 曇天の霹靂
As2.村正
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たちは、簡単に別れの言葉をかけてその場を離れた。
と、思ったのだが。
「あ、ここって武器屋ですね。うわー、六層なだけあって一層や二層の武器とはスペックが全然ちがいますね!」
何故か俺の後ろを付いて来るファム。
修理のために寄った武器屋の中で興奮して騒ぎ出した。
「あ、あれ! あれは何ですか?」
「……」
「うわっ、高い! ぼくの全所持金の二倍でした……」
「…………おい」
「わあ。このナイフ、かっこいいですねー」
「おい」
「アハハ。やっぱりここにもあるんですね、ネタ装備」
「…………」
「あ、はい、な、なんでしょう……っ?」
無視するならそれでもいいと、踵を返そうと思ったのだが、ファムはすぐさま手のひらを返してきた。
「…………何故、付いて来る?」
「え、あ……う……そ、その……」
急に言いよどむファム。
しかし俺は、次にこいつが言うだろうことに予想がついていた。
大方、自分とペアを組んでくれと言ってくるのだろう。
アルスタに来る途中、俺はこいつの目の前で幾度かモブと戦った。
六層程度の通常モブならば既に雑魚と化している俺だ。そんな俺と組めば楽を出来るとでも思ったか。
――そんなことを言って来たら、即座に断ってやる。
そう心構えをした俺に、ファムは――
「……う」
「?」
「う、うぅ……うあっ……うぅ、うくっ……!」
「っ!?」
――な、泣き……っ!?
いきなり泣き出した! な、なんだ、どうなってる……!?
こんな展開は初めてだ。今まで、悔し涙を流させられたことはあっても、誰かを泣かせたことはなかった。
あまりの予想外な出来事にパニックを起こした俺は、ファムを連れだって急いで武器屋を出た。
そして人目につかない場所を思い浮かべ、近くの宿屋になだれ込むようにして入っていった。
「…………」
「うっ、ううっ……」
宿屋の部屋に入り、既に十分が経過した。
むせび泣くファムを椅子に座らせ、俺は丸テーブルを挟んで向かい合うように座りながら、内心頭を抱えていた。
――何故、こうなった……。
いや、理由は解っている。俺自身がこいつを此処に連れてきたのだから。
でも、そう思わずにはいられない。この何とも言えない沈黙が苦し過ぎる。
「……あの」
俺が精神的に限界に達しようとしたとき、泣いていたファムが突然話しだした。
「聞いて、くれませんか……?」
「…………」
こんな場面で断る方法を、俺は今までの人生で習っていなかった。
「…………ぼく、友達が居たんです」
――居た、か。過去系ということは……。
「ぼくとそいつは、あの日――正
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