SAO編
第一章 冒険者生活
Ex2.裏方の仕事人
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にはフラグさえも失うといふのか。
「はぁぁぁ〜〜……」
溜め息を深く吐いて、体も気分も重くなった気がした。
あの野郎が居なければ、きっと、何もかも巧くいってたんだ。
俺はビーターの足を切断して、ビーターは毒ガスの中に取り残されて死ぬ。
ビーターさえ居なくなれば、だんだんとその存在は忘れられていって、そして仲間と戦い続けて行ってベータテスターだのビギナーだの差が無くなったそのときは、俺はあいつらに打ち明けるつもりだった。そのときなら、受け入れてもらえると信じて。
――それをあの野郎が、台無しにしやがったんだ!
「…………っ」
だけど、と思う。
あの野郎が居なければ、俺は――死んでいたかもしれない。
俺が毒ガスに引きずり込まれたとき、アイツは他の奴らが唖然としている中、ひとり躊躇なく毒ガスに俺を追って飛び込んできやがった。
なんなんだよアイツは、意味がわからねぇ。
何処で聞いたのかは知らねぇが、俺がビーターを殺そうとしてることを知って止めに来たんじゃないのか?
アイツからしてみりゃ、俺は犯罪者だろ?
なのに、なんでアイツは俺を助けたんだろうか。
『……ルネリーたちなら、そうしただろうからだ』
いや、理由は一応言ってはいたけど、今考えてみるとそれだけってありえるのか?
そんなんで他人のために命を懸けるのか? ないだろ。
アイツに助けれらて、わけもわからないうちに協力させられ、気が付いたら毒ガスは消えていた。
絶対に助かるわけがないと思っていた俺は、最初助かったことを自覚できなかった。
でも、アイツと目が合ったとき――こいつに助けられたんだと、自分の邪魔をした奴に助けられたんだという羞恥が、俺の心を満たした。
そして俺は、ボス戦の真っ最中だというにも関わらず、たまらずひとり抜け出した。
言いようのないモヤモヤを抱えて、ここまで走って来たというわけだ。
「……はは」
笑っちまう。我ながら滑稽すぎて自分で笑えて来る。
もう俺は、これから先どうしたらいいのか……。
「ねえ、そこのお兄さん」
「……あ?」
俺が自棄になりかけたそのとき、誰かが声をかけてきた。
うつむいてた頭を上げると――そこには、胸元の大きく開いた赤いドレスを着た女性が立っていた。
ウェーブのかかった赤みがかった茶髪のセミロングに、少しきつめの化粧。年齢は二十代前半くらいか?
化粧は濃いが、美人ではある。エロマンガとかで見た娼婦っぽい感じのお姉さんだ。
「フフ……ねえ、何してるの?」
「え、と……べ、別になにも……」
すーっと寄り添うみたいに近付かれ、女耐性の低い俺はどもってしまう。
「そうなの? なにか
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