SAO編
第一章 冒険者生活
Ex2.裏方の仕事人
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した黒鉄宮の管理はNPCが行っていた。
しかし、現在の黒鉄宮内にはNPCは居ない。関係者以外立入禁止だった場所も出入り自由となっていた。
私は宮殿内をくまなく探し、そして《監獄エリアの管理システムにアクセスする端末》を見つけ出した。
だが見つけたはいいが、それの管理を私がする訳にはいかない。
私は金に薄汚い情報屋――《鼠のアルゴ》なのだから。
そんな私が監獄エリアの管理システムなんてものを掌握していることがバレたら、暴動は確実だろう。
ならば、そんな大層なものを管理してても誰からも文句を言われず、なおかつそれを絶対に悪用しないと信用できる人物を管理者とすればいい。
幸い私は、そんな人物に心当たりがあった。
私は今し方メッセージを送って来たそいつに返信する。
『構わなイ。設定を《無期投獄》で固定してクレ。キミも解っているダロウ? いつ開放されるかも解らないこの状況。限られたコミュニティの中に、犯罪を起こそうとする人物がいル。その人物は事の大きさを理解できていないんダ。そんな奴を野放しにしておく愚は犯してはならナイ。しかも、一度投獄されれば、そのことを逆恨みして更なる犯罪に繋がりかねなイ。だからこそ、投獄された者はSAOをクリアするまで投獄し続けたほうがイイ。キミには嫌な役目を押し付けてしまった形となるが……くれぐれも頼ム。――――《シンカー》』
シンカーは《MMOトゥデイ》というSAO開始時の、日本最大のネットゲーム総合情報サイトの管理人だ。いや――だった、というほうが正しいか。私はかねてから数々の情報をそのサイトに提供していたこともあって、彼とは旧知とも呼ぶべき間柄だった。
彼は現在、はじまりの街に籠っている全プレイヤーたちのため、集団で安全に狩りを行い、全員でアイテムやコルを分配するという活動をしている。
無論、そんな彼の人望は厚い。
彼ならば、《監獄エリアの管理システム》を管理していても誰も文句は言えないだろう。
この理不尽な世界で、理想を保つことは大変だ。
信頼できる者ができても、少しの希望が見えてきても。
必ずといっていいほど《邪魔》が入る。
こっちが気を使って色々してるってのに、その全てを台無しにしてしまう奴が現れる。
もう疲れた。理想を全て叶えることは無理だということが解った。解ってしまった。
だから限定する。
守るモノと、切り捨てるモノを区別するのだ。
――キリュウ。
君は合格だ。よく正解を出してくれた。
私の中で君は《守るモノ》に分類されたよ。
今後、私は君を助け続けよう。きっと、君も私を助けてくれるから。
――バリーモッド。
君は不合格だ。君の境遇には同情する
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