SAO編
第一章 冒険者生活
Ex2.裏方の仕事人
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次の男を騙したい……♪」
メリーシアは、《ハラスメント行為誘起詐欺師》なのだ。
昼間の彼女は地味で真面目な女性プレイヤー。
男性の割合が多いパーティーの中でも、信頼はされるが恋愛感情なんて抱かせないという意味不明の特技を持つ。
会話も最低限しかなく、意見もせず、ただ黙々と与えられた役割をこなす彼女には、その姿にある種の諦観すら見て取れる。彼女を初めて見た者は、きっとデスゲームのせいで感情を閉ざしてしまったんだなと思うことだろう。
「デスゲームとなって初めてのお仕事……♪ 簡単ではあったけど、やっぱりイイわぁ……はふん」
「にはハ。この変態メ」
しかし、ひとたび陽の落ち切った闇夜となれば、彼女は胸元を大きく開いたドレスを纏う娼婦のような蠱惑的な女性プレイヤーに変貌する。
特定の酒場にカモになりそうな男性プレイヤーを誘いこみ、色々と思わせぶりな言動でハラスメント行為を相手に起こさせる。
メリーシア曰く、騙されたと解って、でもシステムによって動きを拘束された男性プレイヤーのあの驚愕と絶望と憤怒の入りまじった顔が堪らなく快感なのだという。
――ゼッタイ地獄へ落ちるナ、このオンナ……。
それは私もか、と思ってから自嘲する。
私はメリーシアに依頼して、バリーモッド相手に《仕事》をしてもらった。
先ほどの叫び声の主は、バリーモッドだ。
キリュウからキリトを守ったとの連絡が来る前に、あらかじめ監視役を頼んでおいたプレイヤーに報告を貰った。そしてバリーモッドの進む方向に先回りをして、場を整えた。
今、この小さな村には私たちしか居ない。そうするように私が仕向けたのだ。
恐らく、メリーシアに誘われたバリーモッドは、促されるまま彼女に触れ、そこで彼女はいつも通り「ごめんなさいねぇ〜♪」というセリフと共に《ハラスメントコール》をしたのだろう。
申告コールにより、加害者はシステムによって一時的にその場で動きを拘束される。手足が動かないだけなので、加害者はこのとき様々な感情をその表情に映す。ある者は怒り、ある者は助けを乞い、またある者は絶望に茫然とするか絶叫する。
そして然る後、強制転送されるのだ。
全てを失ったバリーモッドは、最後の最後でも騙され、叫びながら何を思ったのだろうか。
――ま、もう関係ないけどネー。
何故ならバリーモッドは――
「ねえ、アルゴ?」
「ん?」
「それで、《あの件》はどうなったの?」
「…………あア、あの件ネ」
メリーシアに問われ、回答しようとしたそのとき、メッセージの着信音が鳴った。
私は慣れた手つきでメッセージウインドウを開く。
「誰?」
「…………」
噂をすれば、というやつかな
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