SAO編
第一章 冒険者生活
Ex2.裏方の仕事人
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い。――アルゴ」
挨拶的な軽口に、私はクスッと苦笑する。
「まあ、それは置いておいテ……ありがとウ、キミに頼んでよかったヨ。――《メリーシア》」
ドレスの女性、メリーシアは蠱惑的に微笑んだ。
「あなたの頼み、しかもこんなに楽しい《お仕事》を断るワケないでしょう。ふふっ……これでも、あなたには感謝しているんだから、アタシ」
立ち話もなんなので、私たちは部屋に置かれたテーブルにつく。
小さな丸テーブルに一対のイス、そして簡素なベッドだけがこの部屋の備品の全てだ。
ストレージから新たな飲み物を出しているメリーシアに倣って、私も常備してあるウルバス産のブランデーを開けた。
「……それにしても楽勝だったわ。明らかに童貞まるだしで。えーと、名前なんだったっけ? 聞いたけど忘れちゃった」
「バリーモッド。っておいおイ、依頼の説明したときも名前教えたはずダロ」
「いいじゃない。どうせもう――二度と・・・会うことなんてないんだし」
そう、バリーモッドはもうここには居ない。
想定外のことが起こらない限り、二度と彼がキリトやキリュウの前に姿を見せることはないだろう。
「今回はぜんぜん難しくなかったし、報酬はいいわ。そのかわり、またお願いね♪」
「ハァ、まったく、キミは本当に昼・とは別人だよネ。二重人格と言ってもいいんじゃないカ?」
「あら。アタシをこんなふう・・・・・にしたのはあなたよ、アルゴ。……あなたのおかげで、アタシは変われたのだから」
彼女――メリーシアという女性プレイヤーとは、このソードアート・オンラインのベータテストで偶然知り合った。
実は、ベータ時代のメリーシアはかなーり地味めな女だった。
三つ編み、ハの字眉毛、俯き顔、重度の対人恐怖症。
なんでそんなアバターでオンラインゲームなんてやってるんだと、思わずツッコミを入れたくなるほど意味不明な引っ込み思案な娘。
そんな彼女に私はとあるアイテムを渡した。
アバターの容姿に直接作用するタイプの《メーキャップアイテム》。
簡単に言えば化粧品。
私の両頬の三本ヒゲもその類のアイテムを使って描かれたものだ。
彼女に渡したのは、フォトショップのように自分の顔や髪を色々といじくれるもの。最初は戸惑っていたようだが、すぐに使い方を覚えた彼女は、己の美の追求に溺れていった。
そして次に私が彼女に会ったとき、彼女は変わり果てた姿となって現れた。元が良かったのか、メリーシアは誰もが美人と賞賛するほどの容姿となっていたのだ。
化粧は女を化けさせる、というが、彼女の場合、容姿だけではなく性格すらも化けてしまった。
化粧を覚え、人が変わったことにより、彼女はとある《病気》を持つようになったのだ。
「ああ……、はやく
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