SAO編
第一章 冒険者生活
Ex2.裏方の仕事人
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深刻そうな顔をしてたけど」
「……ちょっと、嫌なことがあっただけだよ」
「ふーん」
もう少しで触れそうなほど近付いてくるわりに、その女性の声はどうでもよさそうだ。
「あ、あんた……なんなんだ?」
田舎村の、他に誰も居ない夜の通りで、全く知らない女性と二人っきり(しかも距離が限りなく近い!)という、この雰囲気に耐えきれず、俺はその女性に訊いた。
「アタシ? アタシはね……あそこ、見える? あのお店で働いてるのよ」
女性が指差す方向には、一軒の酒場が。
プレイヤーが露店ではない個人の店を持つにはまだ時期が早いんじゃないかとも思ったが、聞けばどうやらアルバイトのような毎日クエ(一日一回までだが毎日受けられるクエスト)で日銭を稼いでるらしい。
「ヤなこと、あったんでしょ? だったら飲んでかない? もう時間も遅いし、泊まれる部屋もあるわよ?」
奢らないけど酌ぐらいはするわよと、まだ名前も訊いていないこの女性に勧められ、俺は拒否する暇もなく押し切られた。
――ま、いいか。今日は色々ありすぎた。酔えないけど、それでも飲みたいときだってあるよな……。
それに、こんな美人が酌をしてくれるっていうし。
今夜だけはイヤなこと全部忘れてしまおうと、俺はその女性についていき、その酒場へ入って行った。
◆
『〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!??』
私が寄りかかっている壁の向こう、隣の部屋から絶叫が聞こえてくる。
そして直ぐにピタッと止んだ。
本来、この仮想世界のあらゆるドアは、条件つきながら完璧な遮音性能を持っている。
閉じられたドアを透過する音は、叫声シャウト、ノック、戦闘の効果音、の三つだけだ。平常の話し声などはたとえドアに耳を押し当てても聞こえない。
ましてや壁なんて論外、何をしてもどうやっても隣の部屋の音は聞こえるはずがない。それが叫び声だったとしても。
しかし、ここの宿は例外中の例外だ。俗にいうボッタクリ宿。
一般の宿屋と同程度の値段のくせに、鍵はないわ、部屋はせまいわ。更には部屋を囲う壁は普通のドアと同じ特性を持っている。そう、叫び声などは通る、ということだ。ありえないったらない。
「ふー……。一仕事終えた後のバレンシアは美味しいわね」
ノックもなしに私の居る部屋へと入ってくる赤いドレスを着た女。
彼女は片手にグラスを持ちながら、優雅な足取りで私に近付いてきた。
「酔えないカクテルなんて、ソフトドリンクと同じだろウ?」
私は特に気にせずにその女に話しかける。
「無粋ねぇ、それを言ったらSAOここにある全てのお酒がソフトドリンクということになっちゃうわ。ノンアルコールカクテルと言ってちょうだ
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