SAO編
第一章 冒険者生活
13.戦場霧中
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、逡巡。
それぞれが一瞬にして浮かび――――しかし俺の体は直情的なまでに動き出していた。
「――っ!」
ボフンッ、ボフンッ、と音を立ててバリーモッドの後を追い毒ガスの作る壁に突入。
左腕で口元を覆いながら駆け、すぐ前方に幽(かす)かに影として見えるバリーモッドに手を伸ばす。
――届かない……!
咄嗟に彼の腹に巻き付いている触手に狙いを定める。
明確には見えないが、バリーモッドの全体の輪郭からだいたいの見当をつけ、
「くっ…………はああああ!!」
走る勢いと踏み込みをバネに、触手があると思われる場所に渾身の刺突を放った。
「――おぅあっ!?」
鈍い感触が伝わって来る。
若干、宙に浮いていたバリーモッドの体が投げ出され、転がり、すぐ近くで止まる。どうやら上手く巻き付いていた触手は離れたようだ。
だが……。
「かっ……くっ……っとに、なんだよ!? なんだってんだよっ!? ガスの中に入っちまったのか!? 見えねえ! どっちだよ、くそおおおっ!!」
蹲りながら頭を抱えて叫ぶバリーモッド。
混乱しているようだが、動き回らないのだけは助かる。
――さて、どうしたものか……。
バリーモッドの言う通り、視界は最悪。伸ばした自分の腕さえも輪郭がぼやけて見える。
更には、バリーモッドを助けるという目的に必死だったため――――つまりは方向が解らなくなってしまった。
一応、進み続ければどの方向に行っても出れるとは思う。しかし、進んだ先がボスの正面だったら目も当てられない。
「……バリーモッド、さん。回復ポーションを飲んだ方が良い」
「う、うるせえ! 解ってる!」
もたつきながらもゴクリゴクリと飲みほす音が聞こえる。
足元のバリーモッドの顔は、見えない。微かに黒い影が見えるだけだ。
毒ガス内では解毒ポーションは意味を成さない。解毒しても直ぐにまた毒状態になってしまう。回復ポーションとで少しだけ抑えられるが、それでも序々にHPは減って行く。
しかし俺の場合、その点に関しては問題無かった。以前に手に入れたネックレス型の装備《ヌート・アミュレット》の効果でレベル1の毒には完全耐性が出来ている。
俺は試しにシステムウインドウを開いてみた。
――これも情報通り、か……。
毒ガス内に取り残されれば命は絶望的とされる理由の一つ。
それはシステムウインドウの無効化だった。
辺りに充満する高密度の毒ガスのせいで、ウインドウ上の文字も現在位置すらも確認出来ない。それは単に視界が悪いというだけではなく、毒ガスの特殊効果らしい。いくら顔を近づけても見えるのは四角い輪郭だけ。記憶を頼りにボタンを押そうとしても、伸ばした指は虚
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