暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
13.戦場霧中
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ッドの剣を防いでいた。

 ――間に合った、か……。

 守れたことに安堵する。この選択をして、僅かばかり良かったと思った。
 やはり誰であろうと、傷付け、傷付けられるというのは見たくない。

「て、テメェは……」
「…………」

 行動を妨害されたバリーモッドが、驚きと怒りの混じった顔で此方を睨んで来る。

 ――さて、どうするか。

 正直、この後のことは考えていない。
 否、考えても答えが出なかった。
 実行に移している時点でバリーモッドは覚悟を決めているはずだ。ならば説得は期待できない。ビーターに攻撃をしたということが、後戻り出来ないという一種の脅迫概念となっているだろう。何を言えば彼の考えを変えられるのかなんて、俺には想像がつかない。

 かと言って、戦うという選択肢も出来ない。現実とは違い、このソードアート・オンラインという世界では、ゲームシステム上、故意に気絶にさせることが出来ない。脳を酷使し過ぎた場合になる可能性があるかも、とは二木は言っていたが、基本的にそれらしい状態異常(バッドステータス)は《睡眠》か《麻痺》だろうか。《転倒》や《盲目》などは効果時間が短すぎるし、この場をなんとか出来るとは思えない。なにより《睡眠》も《麻痺》も特殊なアイテムを用いなければならない。

 仮にそういう状態に出来たとしても、身動きの出来ない彼をどうすれば良いのか。
 考えて出てくる方法はどれも問題が山積みだ。

 しかし、取り合えず目の前の目的ははっきりしている。ボス戦が無事に終わるまでどうにか時間を稼ぐことだ。ボス戦のどさくさに紛れて行動を起こしたということは、公にはしたくないと彼も思ってはいるのだろう。つまりボス戦が終われば問題は取り合えず先延ばしにすることは出来る。後のことはアルゴとでも話し合おう。

 ――バリーモッドを牽制しつつ、ボスの動きを気に留めつつ、この戦いが終わるまでもたせる。

 厳しいと思う。残してきたルネリーたちも心配だ。
 だが、決めたのならやらなくてはいけない。

「……テメ、どういうつも――」
「引けぇー! 下がれぇー! もう限界だああああ!!」
「毒ガスが来るぞおおおお!!」
「逃げろっ、逃げろ逃げろおおおお!!」

 業を煮やしたバリーモッドが言葉を発した直後、それをかき消すかのように怒号が飛び交った。
 最後まで攻撃をしていたプレイヤーたちが、ひとり残らず急いで逃げようとしている。

「アスナっ、俺たちも……!」
「ええ!」

 ビーターの少年も漆黒のコートを翻してボスから離れていく。

「……?」

 自分の真後ろに居た俺とバリーモッドを一瞬だけ疑問の顔で見てきたが、ビーターはそのまま壁際まで駆けて行った。

「ちっ」

 
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