SAO編
第一章 冒険者生活
13.戦場霧中
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いいのか、その答えは出なかった。アルゴの話には理解は出来る。けれども、バリーモッドがベータテスターだったことが真実だとしても、はっきり言えば状況証拠による推測がほとんどだ。バリーモッドが本当に何を考えて行動しているかは、バリーモッド自身にしか解らない。
だから俺は、これ以上結論の出ない思考をするのを止めて、自分の直感を信じることにした。
――考えても本当に正しい事が解らない場合は、自分の直感を信じろ。
これも祖父の言葉だ。
善悪正誤が解らなくても、自分自身で選んだのならば後悔も少なく済む。そういう教え。
アルゴのメッセージには、他にもつらつらと色々なことが書いてあったが、俺はその中の一文に、アルゴの本心を見たような気がした。
『――バリーモッドのターゲット、ビーターと呼ばれているプレイヤーは、私の知人なんダ。情報の報酬は要らない。後のことは責任を持とウ。……頼む、助けてやってくれ――――』
俺の意志は、決まった。
古樹の巨人の真横に居る俺の視界斜め前方、ボスの正面に位置するプレイヤー集団の中に、ボスに攻撃を行っている《黒コートのビーター》。そしてその数メートル後ろには水色に逆立った髪の男性バリーモッドの姿。
もうすぐ硬直を解いて毒ガスを撒くというボスから離れようとする周りに反して、バリーモッドは前へ前へとゆっくりと進んでいく。
――本当に、する気なのか……。
俺やルネリーたちは既にドームの壁際、ボスが噴き出すという毒ガスの範囲外に退避している。
この後にボスは広範囲に毒ガスを散布し、それが晴れるまではプレイヤーたちは動くことが出来ない。
つまり、それまで此処は一応の安全地帯ということになる。
「……ならば」
三人には此処に居て貰い、俺はバリーモッドを追おう。
胸の内で三人に詫び、此方に向かって退避して来るプレイヤーの波に紛れてボスの方へ進む。
「――これ以上は危険だ! 後列からドーム壁際まで順に下がれ!」
この声と同時、退避してくるプレイヤーが増える。
進み難くなるが、もう時間が無い。
視線の先のバリーモッドがソードスキルの体勢に入った!
距離を考えれば間に合うかは際(きわ)どい。
小走りだったのを全力に切り替え、槍を構える。
「うおおおおお!!」
「おらああああ!!」
ビーターがボスに、バリーモッドがビーターに向けてソードスキルを撃つ。
「ッ…………はあっ!!」
槍の長さを最大まで使うようにして片手で押し出す突きを、俺は彼らの間に放った。
「な…………ななな、なにぃっ!!?」
硬質な接触音が響く。
俺の槍は、ビーターの右足の手前でバリーモ
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