SAO編
第一章 冒険者生活
13.戦場霧中
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「でも、毒霧(これ)が終わればもうちょっとですよねっ。さっきの総攻撃でボスのHPもあと一本近くまで減ってます……し…………あれ?」
だけどあたしの言葉は空を切った。
ついさっきまでそこに居たキリュウさんの姿が、いつのまにか消えていたから。
◆
『――実はネ、オイラも《ベータテスト経験者》なのサ。定義からすれば、ビーターとも言えるかもしれナイ。……でも、出来れば信じて欲しイ。確かにベータテスターの中には、利己的で自己中心的なプレイヤーは多いダロウ。だが、ベータテスターの全てがそうではないということだけは心に留めて欲しイ。自己中なベータテスターのせいで、それ以外のベータテスターも風評被害を受けているんダ。ベータテスターというだけで嫌な顔をされる、そんなのは誰だってイヤだろウ? 《ビーター》という蔑称も、本当ならばそれ――自己中心的プレイヤーとそうでないプレイヤーを明確に区別させるために、とあるプレイヤーが苦肉の策で出した《必要悪》だっタ。今ではごっちゃになっている感は否めないけどネ。そして、件のバリーモッド――――彼もまた、《ベータテスト経験者》ダ』
アルゴもまた、ベータテスターだった。
だが、それは薄々感じていたことではあった。あの多種多様な情報量も、ベータ時代から調べていたのだとしたら納得のいく話ではある。
それよりも、アルゴのメッセージを見て疑問が浮かぶ。
何故、同じベータテスター同士なのにバリーモッドは事を起こそうとするのか。
その答えも、次の文章に書いてあった。
『バリーモッドは、ベータテスターだということを仲間に隠していタ。だが常日頃から、長くは隠せないとは考えていたんだろウ。そして、いつか打ち明けようと苦悩していたんだと思ウ。……しかし、そこに来て《ビーター》の登場ダ。恐らく彼はこう思っタ。ビーターという蔑称まで出来てしまい、今後は一層に一般プレイヤーとベータテスターの溝は深まル。もしバレたら、自分も今まで隠してきたことを周りから追及されるかもしれなイ、とネ。これはその後の彼の行動からも読み取れる思考ダ。彼は、ビーターの容姿と悪い噂を流していた。まるで、ビーターを《個人の呼称》として皆に認識させようとしているかのようニ。そして今回の件だ。…………彼、バリーモッドは、現在ビーターだと特定されているひとりのプレイヤーに全責任を押し付けた上で――――消す気、なんダ』
にわかには信じられない話だった。
しかし、否定する材料も無い。
納得のできる話ではないが、一応は理解できる話ではある。
「…………」
それでも、アルゴの情報を踏まえてもう一度考えてみても、どうしたら
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