SAO編
第一章 冒険者生活
13.戦場霧中
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リュウさんは……?
あたしはしかめた顔のまま、横にいるだろうキリュウさんに視線を向けた。
「う、わ……」
そして思わず声が出た。
それほどまでに、キリュウさんは凄かったから。
「……! っ! ……ふっ!!」
キリュウさんは、あたしが想像していたのとは違う動きをしていた。
最小限の動きで自分に当たりそうになった棘だけを、《槍の刃先》で弾く。
木製の柄の部分で攻撃を受けると耐久値の減少が著しいけど、金属で出来ている刃の部分で受ければ、その限りではないことが以前に解った。でもそれが解っていても、雨の様に飛来する無数の棘を、正確に刃の部分にだけ当てて弾くなんて、常人の芸当じゃないと思う。
盾の傘で、棘の雨を凌ぎながらも、あたしはキリュウさんから目が離せなかった。
「――攻撃再開ィ! (ボスが)次の行動に移るまでにどんどん削れぇー!!」
あたしのHPが五分の一ほど削れたころ、ようやく雨が止んだ。
結構長く感じたけど、時間にすればほんの数秒のことだったみたいだ。
「支援サポート部隊も攻撃を再開します! 全員、号令を聞き洩らさないようにお願いします!!」
ポスキムさんの必死そうな掛け声。
ボスの雄叫びやプレイヤーの喧騒に負けないくらいの大声で叫び続けるのもツライと思う。
「次、行きます! ――スイッチ!」
あと三回のスイッチであたしたちの番だ。
あたしは気合いを入れ直してボスを睨んだ。
「攻撃だあああ!! 攻撃攻撃攻撃ィィィ――!!」
五本あったHPバーが二本を切ってボスの動きが止まってから、プレイヤーたちは狂ったように我先にとボスの巨体に攻撃を繰り出していた。
さっきまでのようにボスの動きに逐一怯えなくていいから、その分、抑圧されたものを解き放つみたいに、ボスに突撃していっている。
「……俺たちは早めにドームの壁際まで避難しよう。ボスの硬直時間が情報通りとも限らない。いきなり毒ガスを撒かれても困る」
キリュウさんが、攻撃には参加せずにあらかじめ毒ガスの範囲から避難しようと提案してきた。
「はい。そうですね、それが一番安全だと思います」
「う〜ん、きっとわたしら報酬低いッスよねぇ」
「命には代えられないよ、チマ!」
「ま、そりゃそうッスね」
あたしたちはボスへ近付こうとするプレイヤーたちの波に逆らって、壁際を目指して進んだ。
「……ふぅ〜、ここまで来れば大丈夫だよね?」
あたし、レイア、チマが壁に手を付いて安堵のため息を同時に吐く。
「そう……だとは思うけど、まだ油断は出来ないよ」
「……ああ、その通りだ。まだ《ベータ時の情報との差異》は確認出来て
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