SAO編
第一章 冒険者生活
12.ビーター暗殺
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に、そして隣に居た別のパーティーは右に別れて後退する。後退と共にあたしたちの代わりに後ろに居たプレイヤーたちが前に詰めた。
こうして、あたしたちのフロアボスへの《最初の一撃ファースト・アタック》は、無事に終わった。
ボスのHPバーの残りは、四本と半分ちょっと。
まだまだ、戦いは始まったばかりだった。
◆
『ビー、ター……? 聞かない用語だな、どんな意味なんだそりゃ?』
俺がその単語を聞いたのは、第一層攻略から一日後の事だった。
はじまりの街で仲間を見つけ、ゆっくりと安全にレベル上げをしていた俺は、ステータスが心許なくて行かなかったフロアボス戦に参加した知り合いから話を聞いていた。
『ああ、なんでも、ベータテスターにしてMMOのコアゲーマーのこと、らしいぜ?』
『……は、ぁ?』
ドキッとした。何の冗談だ、と現実逃避しそうになる。
『とは言っても、今、顔が解ってるビーターは中学生くらいの少年プレイヤーだけらしいけどな』
『……なんで、そいつはビーターなんて呼ばれ始めたんだ……?』
『あー、それはなー……』
知り合いの話によると、ボス戦終盤にボスが、事前情報には無かったスキル――《カタナのソードスキル》を使い始め、その混乱でレイドのリーダーが死亡した。そのとき、一人だけ未知数のソードスキルの軌道を正確に読み、崩れた戦線を立て直したというのが件のプレイヤーらしい。戦いのあと、何でレイドのリーダーを見殺しにしたのか、なんで誰も知らなかったソードスキルを知っていたのかとレイドメンバーに追及され、そのプレイヤーがベータテスト経験者と判明した。
だが、ベータ時のボスの情報が書いてあったはずのアルゴの攻略本にも無かったスキルなのに、いくらベータテスターだからって持っている情報は同じのはずだ、なんで彼はそのスキルを知っていたのか、と混乱するレイドメンバーに対して、そのプレイヤーは言ったという。
『俺はベータテスト中に、他の誰も到達できなかった層まで登った。ボスのカタナスキルを知ってたのは、ずっと上の層でカタナを使うMobと散々戦ったからだ。他にも色々知ってるぜ、アルゴなんか問題にならないくらいな』
そして、告げた。
『俺はビーターだ』と。
『あの一層ボス戦参加者は、だいたいみんな思ったんじゃね? ――マジかよ、ズリぃな。って』
初心者の知らないクローズドベータテストの情報を知り、その恩恵を他者を押し退けて受ける者。
それが《ビーター》。
『……そ、そういう奴って、ムカつく、よな……』
知り合いに悟られないように軽い口調でそう言ったが、俺は今すぐそいつをなんとかしてやりたいという思いを抱いていた。
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