暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
12.ビーター暗殺
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今だあああ!! 壁役タンクは攻撃役アタッカー、支援役サポートとスイッチ! どんどん攻撃しろー!!」

 相手ボスがソードスキルを放ち終わり、技後硬直に陥った瞬間、先頭に立つプレイヤーの一人が怒号した。

「攻撃アタ――ック! 攻撃アタック! 攻撃アタック!!」
「出来るだけタイミングは揃えろよ! ブレイク狙ってけ!!」
「壁部隊タンク! 《ヘイトスキル》頼む!」
「スイッチ! 次の列、準備ィ! ……行くぞ、スイッチ!」

 そして爆発するプレイヤー。
 連続で放たれるソードスキルの、そしてそれがヒットしたときの幾つものライトエフェクトで視界が埋まりそうになる。

「《ウオオオオ!!》」
「《コッチだあああ!!》」
「《実は壁イヤだったんだあああ!!》」

 壁部隊の方から独特なエコーのかかった叫び声が上がった。
 あれは、あたしも持っている《威嚇スキル》により、相手のヘイトを上昇させ、攻撃部隊や支援部隊にボスがターゲットしないようにしているのだ。
 あたしも最近覚えたんだけど、盾職にも色々あって、全身重装甲でモンスターの攻撃を受け切るタイプと、あたしみたいに比較的軽装備で、フットワークを活かしてモンスターの攻撃を逸らす、受け流すというタイプなどがいる。1パーティーだったらどちらのタイプでも壁の役割をすることが出来るけど、大規模戦闘(レイド)みたいな大多数を守る戦いの場合は、やはり前者――攻撃を受け切るタイプの盾役の方が後ろのいるプレイヤーたちからすれば頼もしい。

 ――でも、今、最前線でボスの攻撃を受けている壁役の人達はどう思ってるんだろう?

 あの人たちは、初めから自分が一番危険な場所に飛び込もうと考えて盾を持ったのだろうか?
 たぶんだけど、望んで壁役になった人は少ないんじゃないかなと思う。
 第一層が攻略された時点で、約二千人のプレイヤーがSAOの仮想世界から消えた。
 更にもうすぐ二ヶ月が経つというのに外からの連絡は全く無い。
 つまりは茅場明彦って人が言っていたこと――《デスゲームは本当だということ》を、あたしたち全員がようやく認識してきた頃だと思う。
 誰だって死にたくない。この世界で死ねば本当に死ぬかどうかは、正直まだほとんどの人が実感が湧いていないと思うけど、それを試そうとすると思う人もいないと思う。
 だったら、この危険極まりない世界で少しでも安全を得ようと考えて、重く堅い鎧を身に着け、盾を持った人は多いんじゃないだろうか。先日会ったバートさんもそうだったけど、初心者やプレイヤースキルに自信のない人は特に。

 ……だけど、レベルが上がれば上がるほど、先に進めば進むほど、彼らはその防御力を見込まれて壁役という最もモンスターの攻撃に晒されるポジションを任されることも増えると思う
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