暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
12.ビーター暗殺
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『ん? まー、ムカつくって言えばムカつくよな。アルゴって奴の攻略本とか、めっちゃ助かってるけどさ、でも情報の全てが書いてあるってわけじゃないだろうし。俺らの知らない情報とか、ひとり占めしてる可能性もなくはない。自己中なベータテスターなら尚更だろうな。MMOはリソースの奪い合いってのは解ってるけどさ、こんな状況なんだから、みんなで持ってる情報を共有させればいいのにな』

 懼れていたことが現実になりそうになっている。

 ――マズイ、マズイ、マズイマズイマズイ……!

 このままじゃ、俺は居場所を失う。そいつのせいで、今まで必死にやってきたことが崩れ去る。
 それは、イヤだ。
 どうする、どうすればいい?

 ――《そいつ》さえ、居なくなれば……!

『そのビーターってさ、どんな奴なんだ?』

 俺はそいつの情報を集めた。知り合いに訊いたり、ボス戦に参加した他のプレイヤーに訊いた。そして、第二層のフロアボス戦で初めてそいつを見た。
 そいつは、まだ幼さすら残る少年だった。

 ――こんなガキが、そうだってのか……!?

 俺の今までの苦労が、こんなガキひとりのために無に帰す。それだけでもブチ切れそうだったが、もうひとつの要素が、そいつを殺したいという俺の思いに拍車をかけた。


『お、女連れ……だとぉ!?』


 しかも、フードからちらりと見えたその顔は、超が付くほどの美少女だった。

 ――おい、待て。

 俺ですら、今年二十一になる俺ですらカノジョなんて持ったことすらねぇってのに。

 ――待て、待てって。

 お前も同じなんだろ? 俺と同じで暇があったらネトゲしてる廃人だろ? ビーターって言われるぐらいなんだからよ!?
 これでも仲間内では一番まともな容姿だと思うし! 筋肉質ってわけじゃないけど太ってないし! ヒゲ剃ってるし!

 ――なんでお前の傍にそんな可愛い娘が居るんだよ!? おかしいだろ! 

《ビーター》は、嫌われる存在。そうでなくてはならない。
 だから俺は行動した。ビーターを、《そいつ個人の呼称》とするために。
 ビーターという名称と、そいつの容姿を同時に噂にして流す。更にビーターの悪い噂も流す。
《ビーターといえばそいつ》と誰もが思い、《ビーターは忌むべき者》という認識をプレイヤーたちに広めるようにするのだ。

 その上で、もうひとつ。俺はノリの軽いプレイヤーたちを探した。
 俺と同じ思いを抱き、真剣にビーターを殺そうとするプレイヤーは稀だろう。
 だが、まだ多いはずだ。この仮想世界を、まだ遊びゲームと同じノリでプレイしている者たちは……。
 そいつらに面白可笑しく話し、ひとつの《イベント》と思わせる。皆の悪であるビーターを倒すというイベント
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