ターンEX 鉄砲水と光、光、光
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が、かなりよからぬことになってきた。なんとか脳をフル回転させてこの場から立ち去る方法を考えようとするが、それよりも先に斎王が懐から2枚のカードを取り出した。1枚はデュエルモンスターズのカードだが、もう1枚は違う。占い用に使われるトランプ、所謂タロットという奴である。
「聞きたそうですから先に教えておきますが、私のタロットが告げたのですよ。誰かの裏切りを暗示する月のカードの運命を持つものがここにいる、とね。私はあなたのことを知らないが、光の結社に入るにふさわしい力を持っているようだね」
「ご高説ありがたいがね、生憎と死んだじーさんの遺言で宗教に関わっちゃいけないって言われてんだ。じゃ、あばよ」
ちなみにこのじいさんとやら、完全に口から出まかせである。
「ああ、待ちなさい。せめてこのカードを受け取ってもらいたい」
「なに?」
受け取って、という単語についつい反応してしまうあたり、彼にも清明の貧乏性がいつの間にか移ってしまったのかも知れない。そんな彼の目が、斎王のかざした1枚のカード………時の魔術師のカードを捉えた。見てしまった。瞬間、時の魔術師が白い光を放ち、まるで意志を持つかのように斎王の手から離れてユーノの胸ポケットにすうっと入り込む。
変化は、すぐに表れた。
「これは!?」
「さあてね。このカードはアルカナでもなんでもないが、かなり強い光の意思が宿っている。だが案ずることはない。さあ、私とともに光を目指そうではないか」
「…………誰……が……」
必死に強がるも、さっきまでの闇のゲームに疲弊していた彼の精神は光の意思を抑えられない。地縛神の力があればまた別なのかもしれないが、肝心のカードは今レッド寮に残してきている上に、そもそも彼自身はダークシグナーではないのでその恩恵を受けることができない。下手に出ていけば返り討ちにされかねないほどの光の意志の強さにユーノも、チャクチャルアもどうすることもできないうちに彼の意識が遠くなっていく。どうにもできずに意識が完全に吸い込まれる寸前、せめてもの抵抗としてデュエルディスクを腕から外して砂浜の向こう側に放り投げた。それをチャクチャルアの作り出した闇が捕まえたのを確認し、彼の意識は…………。
彼は思う。ああそうだ、俺は光の結社のためにあの世から蘇ったのだと。
「………わかった、斎王様」
「お互いに分かり合えてうれしいよ。ところで、君の名前は?」
「俺は、ユーノ。光の意思を代弁する1人、ユーノだ」
『………結局は、これも私の力不足が招いたことか。いつかのラビエルとの戦いの時もそうだ。私には、力が足りない』
場面は、再びレッド寮屋根の上に戻る。自虐気味にそう言うチャクチャルアに、言葉をかける者はいない。虚し
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